お知らせ

【活動報告】高校生が福祉を伝える!2回目は福祉と関わる「あの人」にインタビュー

昨年度に引き続き、神奈川県立藤沢清流高校とのコラボレーションをおこなっています。10月23日(木)は2回目として、高校生自身が藤沢市内を中心に福祉と関わる方々にインタビューをしました。

※1回目の様子はこちら

※昨年度の様子はこちらから(1回目2回目3回目生徒インタビュー①生徒インタビュー②生徒インタビュー③生徒インタビュー④

藤沢清流高校とのコラボレーション

藤沢清流高校には自由選択科目「社会福祉基礎」があり、生徒自らが福祉に関心を抱き、学習できる環境が整っています。今年度も「社会福祉基礎」の授業を3日間いただき、藤沢の福祉や共生社会のあり方を考える講義、藤沢市内の障がい福祉に関わる方へのインタビュー、Ana Letterの記事を作成し情報発信をおこなっています。

この取組みは、次世代を担う高校生自らが藤沢の福祉に関心を抱き、高校生の視点で障がい福祉を捉え、高校生の言葉で発信していくことを大切にしています。また、これを機に、藤沢清流高校の生徒たちが藤沢市とさらにつながってくれたらと願っています。

全体の流れ

この授業は、以下のように、1日2コマ、全3回で実施します。

第1回[2025年5月22日(木)]
ゲームを用いながら、合理的配慮や共生社会のあり方を考えるきっかけづくりをおこなう。10月におこなうインタビューに向けて、藤沢の福祉や取材の心得についても授業の中で触れていく。

・第2回[2025年10月23日(木)]
藤沢市内で障がい福祉と関わる方を中心にインタビューにご協力いただき、学校内で生徒自らが各々作成した質問項目をもとにインタビューをおこなう。

・第3回[2025年10月30日(木)]
インタビュー内容をもとに記事を完成させて、生徒自身が抱く、地域福祉や共生社会についての考えを伝える。

2回目の様子を紹介!

授業の内容

生徒たちは、障がいのある子ときょうだい児を育ててきた保護者、看護師、理学療法士へのインタビューを希望しました。当日、ご協力いただいたのは、内海智子さん、富永崇之さん、久合田浩幸さんです

皆さんには、授業の前半で、日頃の活動や想いをプチ講演「高校生に伝えたいこと」として語っていただきました。

  • 内海智子さん(障がいのある子ときょうだい児を育ててきた母)
  • 富永崇之さん(看護師)
  • 久合田浩幸さん(理学療法士・鍼灸師)

その後、それぞれのグループでインタビュー開始!

目をキラキラさせて前のめりに質問する生徒、緊張しながら言葉を紡ぐ生徒…それぞれがそれぞれの持ち味を出して質問を始めました。初めてのインタビューに戸惑いながらも、だんだんと和やかな雰囲気に。

内海智子さん
富永崇之さん
久合田浩幸さん

プチ講演への感想

15分間という短い時間でしたが、自分の興味を抱く内容だけでなく、幅広く「福祉」と出会ってほしいと願い、今年度も生徒たち全員が3名の方からお話を伺える機会をつくりました。

内海智子さん

障がいのあるお子さんときょうだい児、ふたりの子育てエピソードを交えながら、障がいの有無に関わらず、子育ては大変であり、その大変さを楽しむ価値についてのお話を伺いました。

「大変を楽しむ」、何事においても、いちいち落ち込んでいてもどうにもならない。障がいの有無で子育ては大きく変わらない。障がいにはさまざまあるけど、どんな人でも見た目で判断してはいけないことを知った。

自分が小さい頃、「両親は大変じゃなかったか?」と聞かれて、確かに大変だっただろうし、大変を楽しむという考え方がとても良いなと思いました。その大変さやつらさをポジティブに考えていて、見た目で人を判断してはいけないという言葉にとても共感しました。

私は話を聞くまで、知的障がいのある子とない子を育てるお母さんは、すごく大変だと思っていたのですが、お話を聞いて、障がいの有無に関係なく子育ては大変で、その大変さの中に楽しさを見つけたり、前向きに取り組んでいて本当にすごいと思いました。

また、自分が持っていた偏見や認識について、誤っていることや正しいことを学べました。

障がいがあるから子育てが大変なのではなくて、障がいのなるなしに関係なく大変で、その中で楽しみを見つけることが大切だと思えました。

知的障がいの人との間に壁があると感じたことはあるけれど、その原因がコミュニケーションが取りづらさということには気づけていなかったから、今回の講演を聞いて、すごく納得した。

知的障がいの人とのコミュニケーションが難しいから壁を感じてしまうというのは、実際にあると思いました。私はきょうだい児側なので、母側についての気持ちが少し知れてよかったです。

障がいのある人の親はすごく大変だろうし、想像しかできませんが、それでも楽しく明るく頑張っていて大変だと思いました。

障がいのある子どもたちのためにいろいろなことしていて、すごくかっこいいなと思いました。

今回、内海さんが苦労した話を聞けると思っていたけれど、やっぱりお母さんはひとりの子どもを育てるだけで大変だし、それは障がいのあるなし関係なく大変だと言っていて、「確かにな」と納得しました。その大変さを楽しむという言葉が本当に素敵だなと思いました。

自身の日常の中で、知的障がいのある人と接する機会はほとんどないため、そういった人たちの生活についての話がとても面白かった。

話を聞いてみて、身体障がいは目に見えて分かるものだけど、知的障がいはあまり目に見えないものなので、自分でもどういうものか確信が持てなかったが、自分たちとあまり変わらない存在なのだなということがわかった。

あと、そのような人たちが生まれて、自分的には「大変なのかな」と考えていたが、内海さんの「大変を楽しむ」ということを聞いて、とても前向きに捉えて接しているのだなと考えた。

障がいがある子を育てるのは大変だと思っていたけど、障がいがなくても子育ては大変じゃないわけではなかったので、先入観が解けた。

障がいのある子を前向きに育て、楽しいことをいろいろしていて、すごいと思いました。

障がいだから大変というのは違うんだなと思った。自分の思い込みで判断するのは良くないということをよく知った。

富永崇之さん

子育ての中で、子どもが障がいのある状態になり、看護師になることを決意。訪問看護の仕事内容やストレスなどとの向き合い方についてのお話を伺いました。

看護師の仕事をすると、老若男女のさまざまな人と関わることができるイメージ。すごく自分の人生の幅を広げることができそうで充実している仕事だと感じました。

富永さんが息子さんに助けられているように、障がいの有無に関わらず、人は生きるだけで幸せを与えられることを知りました。

すごく子ども思いで、長男の障がいをきっかけに看護師になって、とてもすごいし、話を聞いていて、少し感動してしまいました。

私の祖母も脳出血で倒れてしまい、右半身に麻痺が残ってしまい、重さは違うかもしれないけれど、共感する部分がとても多かったです。幸せホルモンの話、面白かったです。

今回、富永さんの話を聞いて、どうして看護師になったのか、訪問看護がどんなものか、看護師はどんなことをするのか、伝えたいことを知りました。また、豆知識やすごくためになることを学びました。話をたくさん聞いて、もっと看護師になりたいと思いました。

自分の子どものためにできることをしようと年齢や前職の内容に関係なく、取り組めることがとても尊敬しました。私もそのような人に近づきたいと感じました。

病院看護と訪問看護の違いや手術が何のためにあるのか、幸せホルモンの違いは何かなど、知らなかった知識をたくさん知ることができた。

「子どものために」と仕事を考え、転職もしていることがすごいなと思いました。話されているときの口調や仕草から息子さん思いで優しい方なのだと思いました。看護について少し知ることができてよかったです。

息子のために自分もステップアップして頑張ろうと看護学校に入学したのがすごいなと思うし、行動力もすごいなと思いました。誰かのためにやろうとする行動力は、私も見習いたいなと思いました。

家庭でも何かしようと、いろいろ行動(ハグなど)していたことを聞き、私も大変なときに試してみたいと思いました。

息子さんを支えるために看護師になったのがとてもすごいなと思いました。自分は、看護師は病院の看護師しかイメージがなかったので、一命を取り留めた人の生活を支える訪問看護もとてもかっこいいと思いました。

「なぜ訪問看護を選んだのか」という質問に対して「ケガや病気を治すのではなく、人の生活を守りたかった」と言っていて、今後、仕事を選ぶ上で参考になると感じた。

普通の看護と訪問看護の違いがあまりわかっていなかったが、訪問看護は自宅にいる人などの生活を支える役割と聞いて、いろいろな仕事の役割を知ることができた。他にも、看護師の視点から、一人のお父さんとして活動している話を聞いて、とても勉強になるなと感じた。

不況だったのもあったかもしれないけど、子どものために仕事を変えていてすごいと思いました。看護師を目指すのは早いうちからではないと無理というわけじゃないと感じ、自分も目指すときになったら参考になると思いました。

ちょっとした雑学的なものを教えてもらえて面白かったし、やってみようと思った。訪問看護は高齢の人に対してのものかと思っていたが、それだけではないことを知った。

久合田浩幸さん

理学療法士の資格の魅力や、鍼灸師の資格と理学療法士の資格を両方持つことでできる仕事について、また、リハビリはただ身体を回復させるだけでなく、社会参加を含めた視点が大切であることを伺いました。

自分も野球をやっていて、身体のいたる場所が痛い生活をしていました。整骨院や整形外科に通っても治るものとそうでないものがありました。そういった自分が体験した痛みを治せる人になりたいと思っています。

同じような痛みを味わっている人を救いたいなと日々思っていて、そういう人になりたいです。

理学療法士はいろいろな病気やケガの方と関わるんだなと思いました。「人生の出演者になれる」という考え方がすごく良いなと思ったし、自分も作業療法士になりたいので、同じように人生の出演者になりたいと思いました。

大変なことも聞けて、すごく勉強になりました。理学療法士にも興味があるので、話を聞いていて、とても面白かったです。

理学療法士や鍼灸師という職業についてよく知らなくて、今回のお話を聞いて、どうやってなるのか、どんな仕事なのか、何が大変なのかを知れて、すごくやりがいがある仕事だと思いました。

リハビリについてもちゃんと知らなくて「全人的復権」という権利が関わるものだと初めて知って、びっくりしました。

誰かの人生に関わり続ける(彩り続ける)人であったり、リハビリテーションとは全人的復権(その人がその人らしく復権すること)であることを学べて、とても良かったです。

予防と治療は理学療法士の人にやってもらっているのは知っていたけれど、普段の生活に戻るためのリハビリも理学療法士の方にやってもらっているのは知らなかった。

自分の経験から専門学校に進んでしっかりと職として実現されているのがすごいと思いました。「クライアントの人生と彩る出演者の一人」というのがすごく刺さりました。

国家試験と同時に、学校の入学試験もしていたのが、すごい頑張ったんだろうなと思いました。リハビリテーションが全人的復権なのは初めて知ったので覚えておこうと思いました。

患者さんと、理学療法士としてだけでなく「人として関われる」というのが素敵だなと思いました。自分の働きによって、患者さんが歩けるようになるかそうではないのかが決まってしまうのはかなりの責任があるだろうなと思いました。

全体を通して、すごく聞きやすい講演だった。とくに仕事をする上での責任・義務についての話や、リハビリテーションとは日本語で「全人的復権」と訳し、肉体・精神だけでなく、社会的な面での回復を目指すというのが印象に残った。

理学療法士と聞いて、身体のケアをする人と広く考えでいたが、今回の話を聞いて、詳しい内容を聞くことができて、理学療法士に少し興味を持つことができた。あと、「リハビリ」という単語は、身体をまた動かせるよう戻すという認識でいたが、「全人的復権」という一つの権利という話を聞き、とても良い言葉だと考えた。

理学療法士というのは聞いたことがあるけれど、具体的に何をするのかはあまりわからなかったので、理学療法士を目指すきっかけからわかりやすく説明していて良かったと思いました。リハビリテーションは身体を動かすことだと思っていたが、回復のような感じと意味を理解できて良かった。

リハビリは、ただ身体を動かせるようにするものだと思っていたけれど、社会復帰など、多くの目的があることを知った。

インタビューをしてみた感想

それぞれのグループに「慣れないインタビューをしてみてどうだったか?」、インタビュー体験への感想を聞いてみました。

内海智子さんグループ(5名)

・自分の興味のある内容も曖昧だったから、質問も曖昧になってしまい、聞きたかった答えを聞けないことが何度かあった。だから、質問の内容を事前に考えておくことはとても大事なことだと思った。

・インタビューをあんまりしたことがなくて新鮮だった。インタビュー相手がたくさん話してくださったから助かりました。

・1つの質問でたくさんしゃべっていただいたので、この質問は話していた内容とかぶっているかなどを考えてしまい、なかなか質問を上手にできませんでした。難しいなと思いました。

・今回、インタビューをしてみて、とても質問をするのが難しいなと感じた。元々、話す内容と質問するものは決まっていたが、どの順番で質問すれば、相手の人が話しやすいかをあまり考えられていなくて、突然違う質問になったりしてしまった。内容については、とてもわかりやすかった。

・少ない質問に対して、たくさん話してくれて良かった。緊張もあって、あまり質問はできなかった。

富永崇之さんグループ(4名)

・初めてインタビューをして、話を聞きながら、メモを取ったり、話を深掘りしたりすることはとても大変で、インタビューする人はすごいことをしているとわかりました。また同じようなことを聞いてしまったり、すごく難しかったです。

・事前に質問内容を考えていたことで、当日スムーズにインタビューすることができました。また、看護師である富永さんと奥さんがご家庭の話や訪問された方の話などを交えながら、インタビューに答えていただいたことで、学生の私たちでも理解することができました。今後インタビューする側でもされる側でも、そのような点を意識していきたいと思いました。

・自分の知りたいことをたくさん知れたし、看護師を目指している上で、とても貴重な情報をたくさん知ることができました。

・前々からすごく緊張していて、本番でも前後不覚になるくらいドキドキしていたが、富永さんがすごくやわらかい雰囲気だったからか、話を聞くことはつらくなかった。しかし、自分が質問する番だと、手が震えてきてしまって、その項目だけメモが少なくなってしまうほどには緊張した。

久合田浩幸さんグループ(3名)

・テンプレ的な質問が多くなってしまったのですが、いざ聞いてみると返答がすごく深いものでした。自分の予想していたものより遥かに上回っていました。久合田さんは、自分では考えつかない領域のことも考えて生きていると感じました。聞き方や内容をもっと工夫したら、さらに深い回答を得られたかもしれないと感じています。

・あまり学校生活においてインタビューをする機会はないので、すごく難しかったし、「他に何かある?」と聞かれたとき、とっさに質問内容が出てこなくて、少し静かな時間ができてしまったのですが、私以外のほかの2人がたくさん質問をしてくれたので、すごく助かりました。理学療法士の方にインタビューをするのは初めてだったので、とても良い経験になりました。

・インタビューの中で、人から感謝されることや人と関わることが好きと言っていて、自分もありがとうと言われるのが好きだから、近い仕事をしたいと思った。

2回目の授業を終えて

「会いたい人に会う」「知りたいことを聞く」「話してみたい大人が目の前にいる」、今回も生徒たちの希望する内容でインタビューをおこなえるように、インタビューイーの皆さんにご協力いただきました。

「インタビューをしてみたら、想像していたよりも深いお話を伺えた」と感想に書いてくれた生徒もいましたが、これこそが取材の醍醐味だと思っています。人と対話をすると、自分とは異なる意見や思いもよらない発想と出会えることがあります。授業の最後にも伝えましたが、仕事としてインタビューをする人は少ないかも知れません。しかし、私たちは必ず、自分の意見や発想と異なる他者と深く対話をする機会がやってきます。

また、多かれ少なかれ、質問をしなくてはいけない場面もやってきます。そのときに、相手に問いかける、相手の話を聞く…考えながら、対話を重ね、相手の話したことを大切に取り扱う場面もやってくるでしょう。今回の授業が必ずやってくる「対話」のエッセンスになれたらいいなと願っています

3回目の授業では、インタビューした内容をもとに記事の作成をおこなっています。また、3回の授業を通して考えてきた「ともに生きるために必要なもの」も掲載します。藤沢清流高校の生徒の取組みを楽しみにしていてください♪

障がいのアナの活動を応援する

WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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