【藤沢清流高校】神奈川県中央児童相談所の折谷妙子さんにインタビュー!

この記事は、県立藤沢清流高校で社会福祉基礎の授業を受ける生徒が作成したインタビュー記事です。神奈川県中央児童相談所虐待対策支援課の折谷妙子さんのプチ講演を受けて、3年生の兒玉さん、齊藤さん、西山さん、宮﨑さんが質問内容を作成し、取材をおこないました。
参考記事:
高校生が福祉を伝える!:1回目(授業)、2回目(インタビュー)、3回目(記事作成)

児童相談所職員 折谷妙子さん(児童相談所職員歴14年)
入庁後、障害児者施設の生活支援員等を経て、児童相談所で児童心理司、児童福祉司として業務にあたっている。
【プチ講演の内容】
児童相談所のおもな役割や機能についてのお話を伺いました。その中で、虐待が絶対に起こらないという家庭はなく、どんな家庭でも少しのボタンの掛け違いで虐待が起こってしまう可能性があることを知りました。

児童相談所の役割や機能について教えてください

「児童虐待」の対応だけでなく、18歳未満の児童のあらゆる相談を受け付けています。さまざまな専門家による幅広い視点で解決に取り組んでいます。

相談の流れについて教えてください

相談者に明確なニーズがある場合とない場合があります。
ニーズがある場合は、お電話でご連絡をいただき、来所していただきます。虐待の通告があった場合は、通告を受け、臨時の会議によって調査内容を決定し、その後、原則48時間以内に児童の安全確認をします。調査した内容を踏まえて一時保護の有無を決定します。
基本的に子どもの最善の利益を優先して行動します。

どのようなサポートをしているのでしょうか?

子どもや保護者との面接を通して、支援方針を決定します。
子どもに重篤な症状が見られる場合は、長期間の分離が必要と判断する場合もあります。その場合には、施設や里親への措置委託を決定します。
子どもと保護者が再び安全・安心に暮らせるよう支援を行っていきます。

支援を拒否された場合はどのような対応をしていますか?

くりかえし、根気よく児童相談所が心配していることをお伝えする努力をします。保護者の中には自身の親との関係に悩んでいたり、つらい思いをしてきたことが他者への不信感につながっているケースもあります。
場合によっては、法的な対応が必要になる場合もあります。子どもが拒否しているのに、無理やり保護することはありません。

相談に来る人や支援が必要な保護者に、傾向や特徴はありますか?

どんな家庭でもピンチに陥ることはあり得ます。家庭の課題は、さまざまな要因が絡みあって生じています。
子ども側の要因(障がいの有無や育てにくさなど)もあれば、大人側の要因(世代間連鎖、精神的な課題、薬物やアルコールなどの課題、 子どもの発達に合わない要求水準など)もあります。そして環境の要因(経済状況や就労の状況、DVなど)もあります。

児童相談所の職員としてのやりがいを教えてください

担当していた子どもの変化や成長を感じるときに、とてもやりがいを感じます!

児童相談所で働くにはどのような人が向いていますか?

想像力が豊かで、相手の立場に立ち、物事を考えることができる人は向いています。また、オンとオフの切り替えがうまくできること、抱え込みすぎないことも大事です。
何より、一番大切なのはコミュニケーション力と心と身体が健康なことです。

現在の児童相談所の課題は何ですか?

一番の課題は人手不足と人材育成です。保護所の定員が足りないことも課題です。
インタビューを終えて
この記事は県立藤沢清流高校の3年生の兒玉さん、齊藤さん、西山さん、宮﨑さんがインタビューをおこない、作成しました!
テレビなどでは詳しく見れなかったり、見れたとしても表面上の内容しか知れなかったりしたことを、より深く奥まで聞くことができました。そのなかで、あくまで最終的な決定権は子ども自身にあるということに驚きました。
今はネットで何でも調べられるし、AIが発達してきたから、調べずとも質問すれば大体の答えが返ってきます。それでも、やはり本職の方の話を聞くと、質問以外の思わぬことも知れて、とても勉強になりました。
(3年 兒玉さん)
自分で調べただけではわからない、さまざまな出来事や生の声を聞くことができました。自分の視野や考えを広げ、自分のなかにあった児童相談所に対する気持ちを高めるとてもいい機会になりました。
(3年 齊藤さん)
心が強く、そして誰かに寄り添い助け合う、一種の弱さを持った人ができる仕事であることと感じました。人の生死に直接関わる仕事であり、こういう仕事をしている人が暇な世の中になればいいなと思いました。
(3年 西山さん)
テレビやドラマで、児童相談所の人が無理やり親子を引き離すシーンを見たり、自分があまり関わったことがなかったので勝手なイメージで「ひどいな」「かわいそう」と思っていたけれど、インタビューをしてみて、児童相談所は子どもを第一に考えていること、また、場合にもよるけど「無理やり」ではないことが分かって、イメージが変わりました。
それもあり、実際にどういうときにどのようなことをしているのかを正確に知ってほしいと思ったので、読者の皆さんに仕事の流れを伝えたいと思いました。また、1対1で対応しているように思っていたけれど、チームアプローチで多くの専門の人たちであたっているから、どんな内容でも相談できるので、連絡先などを紹介して、子どもたちがもっと頼れる場所があることを伝えたいと思いました。
(3年 宮﨑さん)
