【活動報告】高校生が福祉を伝える!3回目は言葉と向き合い「読者に伝えたい」記事をつくる
昨年度に引き続き、神奈川県立藤沢清流高校とのコラボレーションをおこなっています。11月21日(木)は3回目として、インタビュー内容をもとに、Ana Letterの記事を作成しました。
※昨年度の様子はこちらから(1回目、2回目、3回目、生徒インタビュー①、生徒インタビュー②)
藤沢清流高校とのコラボレーション
藤沢清流高校には自由選択科目「社会福祉基礎」があり、生徒自らが福祉に関心を抱き、学習できる環境が整っています。今年度も「社会福祉基礎」の授業を3日間いただき、藤沢の福祉や共生社会のあり方を考える講義、藤沢市内の障がい福祉に関わる方へのインタビュー、Ana Letterの記事を作成し情報発信をおこなっています。
この取組みは、次世代を担う高校生自らが藤沢の福祉に関心を抱き、高校生の視点で障がい福祉を捉え、高校生の言葉で発信していくことを大切にしています。また、これを機に、藤沢清流高校の生徒たちが藤沢市とさらにつながってくれたらと願っています。
全体の流れ
この授業は、以下のように、1日2コマ、全3回で実施します。
・第1回[2024年5月16日(木)]
ゲームを用いながら、心のバリアフリーや共生社会のあり方を考えるきっかけづくりをおこなう。11月におこなうインタビューに向けて、藤沢の福祉や取材の心得についても授業の中で触れていく。
・第2回[2024年11月14日(木)]
藤沢市内で障がい福祉と関わる方を中心にインタビューにご協力いただき、学校内で生徒自らが各々作成した質問項目をもとにインタビューをおこなう。
・第3回[2024年11月21日(木)]
インタビュー内容をもとに記事を完成させて、生徒自身が抱く、地域福祉や共生社会についての考えを伝える。
3回目の様子を紹介!
授業の内容
前回インタビューした内容をもとに記事の作成をおこないました。2時間という授業の枠組みのなか、【プチ講演の内容】【インタビュー記事】【インタビューを終えて】の項目を作成しました。
インタビューの内容から、「読者に伝えたいこと」を考えてもらい、それぞれのグループで進めてもらいました。
「障がいのある子を育ててきた母」グループ
「理学療法士」グループ
「聴導犬・介助犬」グループ
「児童相談所」グループ
記事を作成するにあたり、生徒たちの心に残ったことや伝えたいことが反映できるよう、インタビューのときに使用したメモを中心に使用してもらいました。プチ講演やインタビューの内容をみんなで話すことで、一つ一つの言葉をもう一度咀嚼する良い時間になっていました。
記事を書いてみた感想
生徒たちは、初めてインタビュー記事を書きました。どうしたら伝わるか、何を伝えたいか…とグループでたくさん話し合い、作成してくれていました。
お話をした話を分かりやすく、伝えやすくまとめるのが難しかったです。思い出しながらメモをまとめました。
質問を言葉にまとめることが難しかったし、 読み手のことも考えて、かぎ括弧(「 」)や、点(、)を打つことも難しかったです。でも、自分の視野を広げることができて良かったです。
みんな、同じことを聞いて書いているはずなのに、ちょっとずつ違うので、まとめるのに少し苦労しました。インタビューをする機会なんてないので、すごく大変でした。 とくに、聞きながら書くのが難しかったです。
今まであまりやったことがなかったので、インタビューをするところからまとめるところまで新鮮で楽しかったです。 今回のインタビューを通して、今まで知らなかった犬の話がたくさん聞けて、たくさん知識をつけることができました。
インタビュー記事を書いてみて、インタビューしたときに書いたメモを文章にまとめるのが難しかったです。
文章をまとめてみると、関水さんのワンちゃん愛を感じました。メモが少ないと、文章を書くときに情報不足になってしまったり、殴り書きすぎると自分でもわからなくなってしまうから、簡潔に書く文章力が大切だなと感じました。
自分の考えや気持ち、 知識の整理ができてとてもいい機会になりました。
メモから記憶を掘り起こし、会話の内容を文字でもわかる範囲で書き直し、 会話でもあり文章でもある内容に書き換えるのが地味に大変でした。
やはり想像していたこととは違う部分もあったり、自分の考え通りのこともあったけど、どちらにしろ、聞いたことをまとめるというのはなかなかないし、初めてのことも聞けて、いい経験もできました。
自分たちがインタビューして伝えたいことをうまくまとめるのが難しかったです。聞いたことを振り返ってより深く理解することができました。
自分自身が気になっていたことを聞いて書くことで、より聞いたことの知識を深めることができました。普段はインタビューをすることがないと思っていたけれど、この授業でインタビューの経験と記事を書く経験を共にできて、良い経験になりました。
自分たちで必要な項目を選んで厳選するのが難しかったです。いろいろとわかりやすくまとめて、協力しながらやるのが楽しくできてよかったです。
ひとりではなくグループで書く記事だから、自分がメモできていないこともまとめられてよかったです。読者にうまく伝えるにはどの言葉を使えばいいのか、違う言い方、伝え方はないか考えるのが難しかったです。
インタビューを通して、新しい視点、新しい世界を知ることができました。自分の将来の夢が保育系に進み、子どもたちと接することが多いため、役立つ内容がたくさんでした。質問の中で「保育者にどう伝えられたいか」という内容も聞けました。将来、さまざまな子どもたちと接するときに、保育者として、子どもたち、保護者に寄り添うことができる先生を目指したいです。
記事にすることでアウトプットができたから、 前回学べたことの振り返りができてよかったです。自分が将来ワンちゃんと関わる仕事をするわけではないけれど、こんな機会はもうないと思うから、ほじょ犬についても、インタビュー記事についても、学べて楽しかったです。
今まで、こんな経験をしたことがなかったので、とても新鮮でした。このインタビュー記事を通して、たくさんの人にほじょ犬について知ってもらえたらと思いました。
共生社会をつくっていくために
3回の授業を通して、共生社会について考えてきました。「共生社会をつくっていくために大切だと思うことは?」という質問は、1回目の授業のあとにもしています(1回目の内容:回答順不同)。授業以外の経験や今回のプチ講演、インタビューなどを経て、また新しい発想が生徒たちのなかに生まれているのが素敵です。
「バリアフリー」という考え方をなくせるくらい「バリア」をなくすこと。「助けるのは当たり」「助けてもらうのには感謝する」この2つが上手に組み合えば、もっといい共生社会につながっていくと思います。
お互いにお互いのことを詳しく知ること、歩み寄ることが大切だと思いました。お互いに心に壁をつくっていたり、近寄ることもなく溝が深くなってしまいがちだから、お互いについて詳しく知ったり、歩み寄ることが大切だと思いました。
差別することなく、お互いに支え合うことが大切だと思います。
違いがあってもお互いが過ごしやすい環境を整え、障がいのある人もない人も関わり合い、お互いが尊重し支え合える関係をつくっていくことが大切だと思います。
共生社会をつくっていくために、今回インタビューをした介助犬のことやプチ講演のなかで聞いたダウン症のことなどをたくさんの人に知ってもらい、理解してもらうことが必要だと思います。また、知るとき、考えるときは、自分の中にある偏見や先入観をなくすことが何より大切なことだと思います。
相手の気持ちや考えを理解し、受け入れ、自分の無知を知ることが大切だと思います。知識をつけ、偏見を持たずに人と接することも重要だと思いました。
お互いを知り、お互いの尊厳と自由を犯さない関係を築き上げるため、 まず1歩近づいて話してみることが個人として大事だと思います。
他者をお互いに理解することだと思います。相手の立場に立ってみて、その相手の考えを想像できれば、それが共生につながると思います。
物事を多角的に考えて、一部でなく全体を見て判断することが大切であること、また、人と関わることで学べることも多くあると思いました。
社会で生きていく上で、自分の身近な人と手を取り合って過ごすとともに、健常者や障がい者は関係なく、1人1人がお互いを助け合い、支え合うことが大切だと思います。
社会で生きる全員が欠けないように受け入れられる環境をつくったり、情報発信ができる社会をつくっていく必要があると思います。
障がい者に対する知識、理解を深める。社会から障がいをなくす。障がいは人にあるのではなく、社会にある。
障がいの有無関係なく、バリアフリーという言葉自体がなくなってほしいと講演の中でありました。すごくその通りだと思いました。共生社会になるためには、さまざまな立場から平等に生きられる世の中が大切だと思います。
障がい者は十分頑張っていたと思うから、大切なことは、障がいを持っていない人が障がいを持っている人の気持ちを考えることだと思います。みんながみんな、障がいのあるなしに関わらず、ほかの人を思いやる気持ちが大切だと思います。
こうやって体験したことを、家族や友だちに伝え、障がいについて知ってもらうことが大切だと思いました。そこからどんどん広まっていけば、共生社会もつくっていくことができると思いました。
3回の授業を通した感想
「高校生が福祉を伝える!」は全3回の授業でした。生徒のなかで「福祉」について、いろいろな想いが生まれてくれたようで、とても嬉しいです。
●自分の今まで培ってきた知識がさらに深まりました。盲導犬や介助犬にもっと種類があることを知れてよかったです。人を支える福祉ってかっこいいと思いました。
●さまざまな職種の人が福祉と関わっていて、福祉をつくりあげたり、福祉を受けたりと「福祉」は幅が広いんだなと思いました。いろいろな視点から人生を考えたり、仕事を知れてよかったです。
●普通に生きているだけでは聞けないような方々のお話をたくさん聞くことができて、すごく良い経験になりました。 また、自分が気になっていたことも聞けてすごく嬉しかったです。
●自分が選んだテーマ以外にも、他のテーマの方のプチ講演を聞くことができたので、自分が触れたことのない分野の話をたくさん聞くことができて、とても貴重な体験ができました。
●1回目の授業では、日常的なストレスを発散することを目的としたゲームが開発されていると知って、ゲームにもさまざまな役割があるなと感じたし、ゲーム自体も楽しかったです。2回目のプチ講演では、自分の知らなかったことをたくさん知ることができて、自分の福祉に関する関心が広がりました。インタビューをして、福祉は人間だけでなく動物も役に立つことができて、その動物も幸せに過ごすことができると知り、福祉は幅が広いことを改めて感じました。
●自分が元々興味を持っていた職業の方から、ネットだけではわからないことを聞くことができました。また、その知識をまとめ、自分の気持ちを整理することができ、とてもいい機会になり楽しかったです。
●もうちょっとバイト先にいる異国の人たちと話してみようと思いました。正直、理解し合えないと思っていたけれど、案外違うかもしれないから、決めつけは捨てて話してみる気になりました。ありがとうございました。
●聞いた話をまとめたりすることをあまりしてこなかったのですが、何回かに分けてできて、詳しく聞けたりして、 今までにない経験になったから、色々参考になりました。
●いろいろな職業を通じて、 人のため、社会のために役立つことができることを知りました。実際にその仕事をする人にしかわからないやりがいやこだわりがあると感じました。
●1回目は体験型の授業をするなかで、どんな子でも楽しめるゲームの存在を知り、とても楽しく、さまざまなことを考えることができました。2回目、3回目では、実際に興味のある職業のことをインタビューし、記事を書き、興味が深まるとともに、ほかの職業の素晴らしさも感じることができました。
●社会福祉の授業を取っていないと話す機会がないので、すごく貴重な時間になりました。インタビューすることで、自分が知りたいことをピンポイントで知れるので、たくさんの知識をつけることができました。
●インタビューをグループでやって、みんなで記事をつくったので、自分がメモできていない分も記事にできてよかったです。障がいに対する考え方は、やはり、きょうだい児だと似た考えが多く、家だとたくさん話していて仲良しだけど、外で話すのは嫌というか、自分から話そうと思えないのが共感できました。
●3回の授業を通して、自分の将来の夢と掛け合わせた貴重な体験ができたと思います。さまざまな業界の人を知ることができて、普通の生き方をしていたら知ることのないようなことがたくさんでした。今回得たことを全く知らない人に話したり、今回の経験を活かせる場などがあったときに活かすことができたらいいなと思いました。
●「インタビュー記事ってよくわからない」と思っていましたが、人の話を聞いてそれを書くってすごく大切なことだなと思いました。ワンちゃんのこともよく知らなかったけど、ほじょ犬を通してたくさん学べてすごく楽しい時間でした。今は何もできない学生だけど、将来何かできることがあったら絶対にやりたいと思いました。
●最初はインタビューして記事をつくるなんてできるのかなと思いましたが、いろいろな人の話を深く聞いて、自分の知らなかったことも知ることができたし、障がいのある方に対しての自分なりの考えを持つことができました。また、職業についても興味を持ったので、自分は看護師として働くけれども、インターネットなどを使って調べてみようと思います。チーム医療の役にも立つと思いました。
3回目の授業を終えて
話したことや聞いたことを繰り返し、振り返ることで、その場では流れてしまった言葉の一つ一つがもう一度生きて戻ってくることがあります。これは、相手を理解する上でも、とても大切だと思っています。
生徒たちの感想には「知ること」「伝えること」の大切さを書いている子が多くいました。授業だけでなく、知る機会は無数にあります。日頃の出来事のなかでも、相手が言ってくれた言葉、その表情を思い出して、もう一度「読む」ことで、相手の想いを知り、近づくことができると考えています。生徒たちと授業をすることで、私自身も大切な気づきを思い出すことができます。今年度も素敵な機会をありがとうございました。
このあと、Ana Letterでは、生徒たちが作成したインタビュー記事を随時掲載していきます。生徒たちが伝えたいと思った内容はどのようなものなのか、Ana Letterでの掲載をお楽しみに!