インタビュー

【藤沢清流高校】手話通訳士の小菅秀さんにインタビュー!

この記事は、県立藤沢清流高校で社会福祉基礎の授業を受ける生徒が作成したインタビュー記事です。手話通訳士の小菅秀さんのプチ講演を受けて、3年生の春日まかにさん、萱森希彩さんが質問内容を作成し、取材をおこないました。

参考記事:
高校生が福祉を伝える!:1回目(授業)2回目(インタビュー)3回目(記事作成)

手話通訳士 小菅秀さん(手話通訳士・者歴11年)
神奈川県聴覚障害者協会職員、神奈川県手話通訳者協会役員、しゅわまる事務局。見えない障がいである聴覚障がい、ろう重複障がい者の福祉向上などのため、活動している。

【プチ講演の内容】
小菅さんは海外に興味があり、高校生の頃に海外へ留学しました。その後、日本に戻ってきた小菅さんは、衆議院議員秘書や不動産会社、経営コンサルタントなどの様々な仕事を経験されました。そして、夢でもある海外生活を叶えようと海外へ行こうと決意したときに、手話に出会いました。

きっかけは、仲の良かった従姉妹の子どもがダウン症(ろう、知的重複)で、どのようにコミュニケーションを取ろうかと考えたときにマガトンや手話があることを知ったそうです。これをきっかけに手話に興味を持った小菅さんは、手話の講習会に通い始めましたが、最初は自分が求めている手話(ダウン症の子どもとのコミュニケーションレベル)とは違う内容のため、あまり手話に興味を持てませんでした。ですが、その後、実際に聴こえない人たちと出会い、講習会では味わえなかった、異文化の社会で楽しく「言語」として手話を学ぶことができたそうです。そして現在、小菅さんは、手話通訳士・者として、手話通訳の仕事をしています。

春日・萱森
春日・萱森

どのような仕事をしていますか?

小菅秀さん
小菅秀さん

今は手話通訳士・者として活動し、耳の聴こえない人の通訳(情報保障)をしています

春日・萱森
春日・萱森

先ほどの講演で手話通訳士・者として活動しているとおっしゃっていましたが、その2つの違いは何ですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

手話通訳士は厚生労働省認定の資格です。手話通訳者は手話通訳者全国統一試験(社会福祉法人全国手話研修センター)に合格した人のことです。昔は担える仕事に違いがありましたが、今は活動できる場所もさほど変わりはないです

春日・萱森
春日・萱森

なぜ、その仕事をしようと思ったのですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

耳の聴こえない人たちの社会をより良くしたいと思ったのと、自分の経験をその社会で活かしていきたいと思ったからです

春日・萱森
春日・萱森

手話通訳の魅力ややりがいは何ですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

手話を通して、いろいろな文化や違う文化を学べることや手話の背景や意味をつかむことが魅力かなと思います

それに、ろう者の生活や命に関わる現場、または、メディアでの通訳、行政の記者会見など、耳の聴こえない人たちに自分の手話を通して伝えることや情報保障ができることがやりがいだと感じます

春日・萱森
春日・萱森

障がい福祉について思うことや考えていることはありますか?

小菅秀さん
小菅秀さん

神奈川県の聴覚障がい者のための福祉は、他の都道府県よりも遅れています。実際、聴覚障がい者の両親は95%が耳の聴こえる状態のため、相談できる場が少なく困っている人が多いのが現状です。

春日・萱森
春日・萱森

聴覚障がい者の方と接していて、聴覚障がいの方が困っているなと感じることは何ですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

やはり一番問題なのは、まだまだ差別が多いことです。生活のなかはもちろん、仕事の面でも、たとえば、会社の中での配慮や会議などに情報保障がついてないことです。

手話通訳士・者を呼ぶとなると、会社側にお金の負担が生じるため、金銭面の問題で筆談で済まされてしまうことがあります。その筆談の内容も簡単なものになってしまい、どうしても聞こえる人と情報格差ができてしまいます

春日・萱森
春日・萱森

小菅さんの大切にしているものは何ですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

「挑戦していく気持ち」です。私は、人と違う道を進みたいと思う性格です。ドキドキ感や緊張を楽しさに変えて、実践的に挑戦するようにしています

春日・萱森
春日・萱森

いろいろな仕事を経験してきたと思いますが、そのことで良かったことはどんなことですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

一番良かったことは人脈が広がって、友だちが増えたことです

春日・萱森
春日・萱森

その友だちのなかには、耳の聴こえない人もいらっしゃるのですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

もちろん、たくさんいます。日頃、一緒に遊んだり、飲みに行ったりしています。海外旅行にも一緒に行きました。海外生活の経験を活かして、英語を聞いて手話で通訳して、アメリカを案内しました

春日・萱森
春日・萱森

小菅さんがこれから挑戦したいことは何ですか?

小菅秀さん
小菅秀さん

今の仕事や生活にはやりがいもあり、楽しく満足していますが、夢でもあるアメリカでの暮らしはいつか叶えたいですね。そのときは海外で手話を使って、耳の聴こえない人のための現地ツアーをしたいと考えています。

あとは、2025年に東京で耳の聴こえない人のオリンピック「デフリンピック」が日本で初めて開催されます。そのために全世界共通手話ASLを勉強していきたいです。

インタビューを終えて

この記事は、県立藤沢清流高校3年生の春日まかにさんと萱森希彩さんがインタビューをおこない、作成しました!

小菅さんへのインタビューで印象に残ったのは「挑戦する大切さ」です。小菅さんの今までの経験を聞いていると、小菅さんは自分が興味を持ったことに対して、そのままにするのではなく、常に学ぶ姿勢を取っていました。その結果、いろいろな人と出会い、その経験が今生きているそうです。

また、小菅さんは最終的にアメリカに住み、日本から観光しに来た聴覚障がい者の方にアメリカを案内するような仕事をしたいと言っていました。いくつになっても現在の状態に満足するのではなく、常に挑戦する姿にすごく憧れました。私もいろいろなことに挑戦していきたいです
(3年 春日まかにさん)

ともに暮らす上で必要なことについて聞いたとき、耳の聴こえない人たちは「困る」ということが分からないこともあると知りました。理由として、情報が少ないなかで暮らしているため、自分が何に困っているかが分からないと聞きました。また、電話ができないこと、差別が多いこと、会議に手話通訳士を呼んでもらえないことがあると聞き、すごく複雑な気持ちになりました。会議に手話通訳士をつけると、会社側にお金がかかるので呼べないのはわかるけれど、お金をかけてでもその人の意見や主張を聞いてみるのもありなのではないかと思い、1番考えさせられ、心に残りました
(3年 萱森希彩さん)

WRITER

障がいのアナ

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