【記事作成】高校生が福祉を伝える!藤沢市の高校生が市内の障がい福祉を取材し、共生社会のあり方を考える(第3回目)
令和5年の新たな取組みとして、神奈川県立藤沢清流高校とのコラボレーションをおこなっています。10月26日(木)はその第3回目として、インタビュー内容をもとに、Ana Letterの記事を作成してもらいました。
藤沢清流高校とのコラボレーション
藤沢清流高校には自由選択科目「社会福祉基礎」があり、生徒自らが福祉に関心を抱き、学習できる環境が整っています。今年度「社会福祉基礎」の授業を3日間いただき、藤沢の福祉や共生社会のあり方を考える講義、藤沢市内の障がい福祉に関わる方へのインタビュー、Ana Letterの記事を作成し情報発信をおこなっています。
この取組みは、次世代を担う高校生自らが藤沢の福祉に関心を抱き、高校生の視点で障がい福祉を捉え、高校生の言葉で発信していくことを大切にしています。また、これを機に、藤沢清流高校の生徒たちが藤沢市とさらにつながってくれたらと願っています。
全体の流れ
この授業は、以下のように、全3回で実施します。
・第1回[2023年5月11日(木)]
障がいのアナ代表による2時間の講義。ゲームを用いながら、心のバリアフリーや共生社会のあり方を考えるきっかけづくりをおこなう。10月におこなうインタビューに向けて、藤沢の福祉や取材の心得についても授業の中で触れていく。
・第2回[2023年10月19日]
藤沢市内で障がい福祉に携わる方を中心にインタビューにご協力いただき、学校内で生徒自らが各々作成した質問項目をもとにインタビューをおこなう。
・第3回[2023年10月26日]
インタビュー内容をもとに記事を完成させ、地域福祉や共生社会についての考えを「Ana Letter」の記事で発信する。
3回目の様子を紹介!
授業の内容
最終回の今回は、前回インタビューした内容をもとに記事の作成をおこないました。2時間という授業の枠組みのなか、【プチ講演の内容】【インタビュー記事】【インタビューを終えて】の項目を作成しました。
授業の最初に「読者目線で書くこと」を確認し、それ以降の時間配分や進め方は、それぞれのチームにお任せしました。生徒たちは主体的に話し合いや役割分担をして、時間内に書き上げてくれました。
宮﨑さやかさんチーム
小菅秀さんチーム
記事を作成するにあたり、生徒たちの心に残ったことや伝えたいことが反映できるよう、インタビューのときに使用したメモを中心に使用してもらいました。プチ講演やインタビューの内容をみんなで話すことで、「どういう意味で相手が話してくれたのか」「その理由は何だったのか」と、一つ一つの言葉をもう一度咀嚼する良い時間になっていました。
メモが足りない部分は、当日の音声を文字起こししたものを使用して確認。「ここは記事にはしない」など、自分たちで記事にする内容も取捨選択し、読者の方に届けたいインタビュー記事が完成しました。
記事を書いてみた感想
どうやったら読んでくれる人に分かりやすく届けられるのかなと考えながら、内容をまとめるのが難しかった。
個人的には「あれも大切だし、これも伝えたいし」と、たくさんあり、どの話(情報)をまずは伝えるべきなのか選ぶのが難しかった。ふだん意識しないようなところを意識しながら書くのがすごく大変だったけれど、とても良い経験になりました。
初めて記事を書いて、文の終わりは「です」が良いのか「話し言葉」が良いのか、書き方が分からなくて苦戦した。インタビューした内容を忘れてしまうことがあるので、録音は絶対にしたほうがいいと思った。
今回できなかったことがたくさんあったので、もう一回やってみたいです。
初めてインタビューの記事を書いてみて、話した内容を読者の方が読みやすいように長文にならないように、短い文章でまとめることが難しかったです。
聞いた内容の中から、小菅さんが伝えたい気持ちが伝わるように内容を抜粋するのが大変でした。また、記事を読んだ人に小菅さんの人柄や今までの人生が分かりやすく伝わるようにしながら、おこないました。
記事を1つ書くのに、こんなにいろいろなことに気を遣いながらおこなわなければならないことを知らなかったので、びっくりしました。
初めてやってみて、とにかく難しかったです。メモ通りに書いてしまうと書くことが多くなって、他の情報が書けなかったり、文が上手くつなげられなくて、会話していないことを追加して文をつなげようとしてしまったり、頭をすごく使わないとできないのだなと思いました。
でも、もう一回やってみたいと思いました。
共生社会をつくっていくために
3回の授業を通して、共生社会について考えてきました。「共生社会をつくっていくために大切だと思うことは?」という質問は、1回目の授業のあとにもしています(1回目の内容:回答順不同)。1回目のときも、いろいろなことを考えながら、自分の想いを言葉にしてもらいましたが、今回はそれぞれが違うアプローチで考えられるようになっているのが素敵だなと感じました。
健常者である私たちが、もっと障がい者や助けを必要としている人たちの存在に気づき、サポートしてあげることが大切だと思いました。
助けを必要としている人がたくさんいることを、今回のインタビューを通して気づいたので、その人たちをどうやってサポートしたら、私たちと同じように生活できるのかを一緒に考えていくことが大切だと思いました。
そして、私たち健常者が障がい者やリハビリを受けられなくて困っている人がいることをもっと身近に感じて、常に考えてあげることも大切だと思いました。
もっと社会福祉のことを身近にすればいいと思う。
たとえば、小学生の頃から授業で福祉関係のことをすれば、大人になってから勉強するより身につくし、障がいのある人との交流をたくさんすれば、大人になっても当然のように過ごしていけるので、身近にすることで共生社会をつくっていけると思う。
いろいろな人がいることを知り、理解することが大切だと思った。
私は理学療法士と目指していて、将来、身体が不自由な方と出会う機会が増えると思いますが、そのときにしっかりと相手を理解して不満や不自由のない日常生活を送れるようにして、誰もが楽しく生き、協力しあっていく社会をつくりたいと思った。
共生社会をつくっていくためには、相手に興味を持つことだと思います。
相手に興味を持ち、自分とは違う経験をしてきた人のことを知っていくことで自分自身も新しい知識や価値観を得ることができます。そうすることで、いろいろな人のことを理解できるようになり、共生社会につながっていくと思います。
コミュニケーションをとっていくことが大切だと思う。
けれど、耳の聴こえない人は言葉ではコミュニケーションが取りづらい方もいると思うから、その人たちのためにも、みんなが簡単な手話を覚えたり、挨拶だけでもできてたり…何かしら、できることはやっていくべきだと思います。
3回の授業を通した感想
●最初はつらい思いをしている人がどれくらいいて、どういう助けを必要としているのか分からなかったけれど、ゲームやインタビューなど、さまざまな活動を通して、普通に健常者と生きることが難しい人が本当につらい思いをしていて、誰かの助けを求めていることを知りました。ゲームでは「これくらい何とかなるでしょ」と思うものでも、いざやってみると全然できなくて、困っている人がいたら絶対に助けたいと思ったし、つらさとかを見た目で判断しちゃダメだなと思いました。インタビューでは、理学療法の問題やこれから先のことなどを学べて、本当に良かったです。理学療法をもっと身近に感じてもらえるように、いつか、かかりつけの理学療法士ができたらいいなと思うという話を聞けて、確かにそうだなと思ったし、私も将来そのお手伝いのようなことが、違う形でもいいからできたらいいなと思いました。
●1回目の授業ではカードゲームをやり、たくさんの役の人がいて、共生社会とはどういうものなのかが分かった。小菅さんの講演ではたくさんのことを経験していてアメリカに行ったなど、とても面白い話が聞けた。宮﨑さんの講演とインタビューでは、将来に役立つことを教えていただいたり、雑談などをして、とても楽しい時間でした。記事では難しいことがあったけれど、みんなで協力してより良いものができたと思う。
●小川さんのお話を聞くまでは社会でどのような福祉活動が行われているか詳しく知れていなかったと思うので、貴重な体験ができたと思う。宮﨑さんにインタビューをしてみて、改めて理学療法士という職業に興味を持つことができたし、将来、理学療法士になれたときに病院で働く以外にも働いていける場所があることが知れた。記事をまとめるときには今までは読む側でしたが、書く側になってみなければ分からない大変さがあったので、できあがったときには達成感があった。
●3回の授業のすべてで初めての経験をしたので、新鮮で楽しかったです。小菅さんのインタビューで学べた「挑戦する大切さ」などを活かして、頑張りたいと思います。
●一言でいうと、ものすごく楽しかったです。分からないことだらけで、本当にできるのか不安な1回目から始まったけれど、1回目の授業が終わってから2回目がくる間の期間は、「まだかな、早くやりたい」という思いがありました。記事をつくるのは、実際にやってみると難しいし、読む人側の気持ちを考えてつくらなくてはいけなく、自分たちが良ければいい問題ではないことに気づけました。
インタビュー記事、完成
まもなく掲載! お楽しみに!
3回の授業を終えて
生徒たちの学びに、私自身も学びました。感じ取る力、学びとる力、表現する力…大人が先に答えを持ってしまうと、その答えが出せるように道をつくってしまうことがあります。今回、授業が始まる前は、私自身も「発信できるように育てる」という気持ちが強くありました。
それが、最初の授業のときに、ガラッと変化しました。だんだんと力を合わせながら、ゲームを進めていき、誰が教えたわけでもなく、そこから「ともに生きる」を考えていく。そして「問い」を渡せば、自分なりの答えを表現してくれる生徒たちを見て、もっと生徒たちの目に映るものを大切にしたいと思いました。
「この子たちは何を考え、何を表現してくれるのだろう」「今度は何を見せてくれるのだろう」と、こちらもワクワクしながら、授業に臨ませてもらいました。インタビューのときのキラキラとした表情、真剣な表情で集中し記事を作成する姿、その一つ一つが、私にとって一生忘れることのない柱になりました。
藤沢清流高校の生徒の皆さん、大切な時間をありがとうございました!