インタビュー 障がいとは

身振りでもジェスチャーでもいい(NPO法人藤沢市聴覚障害者協会 副理事長 飯塚晃子さん)[No.002]

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音のない世界、その静けさは安らぎでしょうか?音が聞こえない世界は、単純に音がない世界ではなく、同じ空間にいながら「参加することができなくなる」不思議なバリアのある世界なのだと感じました。子どもの頃、みんなで楽しそうに話している姿を見て羨ましいと思った、そう語ってくれたのは、NPO法人藤沢市聴覚障害者協会副理事長の飯塚晃子さんでした。

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飯塚さんの生い立ちを教えてください。

「ろう」といっても、生まれたときから聞こえない人、成長の過程で聞こえなくなった人、さまざまです。私は生まれたときは、音が聞こえていました。聞こえなくなったのは、6~7か月の頃です。高熱が出て、2~3ヶ月の入院が必要となり、その治療の薬の副作用で聞こえなくなりました。当時、親戚を含む、家族はみんなショックを受けたと聞いています。母はトイレで1日中泣いていたとも聞きました。手話に出会ったのは、中学生のときでした。その頃、学校では「手話は禁止」と言われていたので、友人と一緒に先生たちから隠れて「指文字」で会話を楽しんでいました。ただ、それ以外の場面では、なかなかコミュニケーションがとれず、苦労したのを覚えています。

 

家の中は手話ではなかったのですか?

手話ではなく、口話です。口の動きを読んで、家族とはコミュニケーションをとっていました。親戚が30人近く集まるときには、みんなが楽しそうに話しているなーと、羨ましく見ていたのを思い出します。みんな、仲間外れにしているわけではないのですが、会話に入れないので、自分だけ、ひとりご飯を食べて時間を過ごしていました。

 

いつ頃、自分だけ「聞こえない」と気づいたのですか

幼稚部だったので…4歳くらいだったと思います。当時、補聴器のような首にかけるものがあったのですが、ある日、両親も弟もそれをつけていないことに気づいたんです

 

特に暮らしづらいと思ったときは、どんなときでしたか?

会話がスムーズに進まなくて、コミュニケーションがとれないと思うときです。特に仕事のときですね。「自分は聞こえない、でも、周りは聞こえている」という社会に初めて出てみると、聞こえないことが理由で分からないこともあり、悔しいと思うこともありました。聞こえることが前提となっている社会は、さまざまな困難さがあります。

 

言葉として伝わっていないだけなのに、「理解できていない」とか「仕事ができない」とか、誤解が生まれてしまいそうですね。

ろうの世界、ろうの立場の苦しさは、なかなか伝わりにくいのだと思います。

 

ろうの世界を知る方法はありますか?

 

今後、どのような社会になっていったらいいと思いますか?

藤沢市は手話通訳者がたくさんいるように感じていて、そこはありがたいと思っています。だけど、手話ができないから聴覚障害者と関われないと思わないでほしいなと思っています。手話ができなくても、筆談や身振り、ジェスチャーなど、方法は何でもいいから、コミュニケーションをとってつながっていきたいです。手話、筆談、身振り、ジェスチャー…いろいろなコミュニケーション方法が広がって、笑顔あふれる温かい地域になっていってほしいです。

 

インタビューを終えて

「耳が聞こえないことは、音が聞こえないこと」それだけではないことを、ろうの方とお話をすると、いつも感じます。

みんなが笑いながら話している姿と見て、いいなーと羨ましく思う、飯塚さんの幼少期を伺ったとき、子どもなりにたくさんの我慢をし、きっと気を遣わせないように、ご飯に夢中になっている子になってくれたんだと思いました

今もなお、多くの聞こえない子・聞こえにくい子が、きっと淋しさに蓋をして、気を遣っている社会なのだと感じます。

子どもだけでもありません。「大したこと話してないから、伝えなくていいかな?」「重要なことだけ筆談しよう」というのも、少し違うのかなと思っています。私たちは、大したことない話こそ、大好きで、きっとそれが人付き合いで、コミュニケーションなのだと思います。

言語の壁があるのと同じこと。手話で正確に伝える以上に、ジャスチャーでも何でもいいから同じ空間で、一緒の時間を過ごしていきたいと思いました。

 

今回の取材では、手話通訳として、公益社団法人神奈川県聴覚障害者協会の小菅秀さんにご協力をいただきました。

インタビューに答えてくださった飯塚さんと手話通訳の小菅さんは、藤沢市が開催している手話初級講座(2019年)で、私に手話を教えてくれた先生でもあります。いつか、ひとりで手話でインタビューできるように…そう思って習った手話でしたが……精進します!

 

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小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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