コラム

【活動報告】手話言語の国際デーinふじさわ2023(司会)

先月、9月23日(土)に新江ノ島水族館で『手話言語の国際デーinふじさわ2023』が開催されました。2017年の国連総会で決議され、毎年9月23日は「手話言語の国際デー」です。「手話は一つの言語である」、この意味を一緒に考えていきましょう

イベント当日は、新江ノ島水族館でのステージパフォーマンスとともに、シンボルカラーであるブルーのライトアップがおこなわれました。障がいのアナは、今年も司会として関わらせていただきました。

8080(ハレバレ)によるサイレントコメディーショーやDeaf Hulaの柔らかなフラ、STUDIO BUZZ、UD DANCE SCHOOLの皆さんによる息の合ったカッコイイダンスが会場を盛り上げてくれました

どのチームも、聴覚障がいのある方がメンバーにいます。音やリズムなどいろいろな工夫をしながら、障がいの有無に関わらない活動を日常的につくっています。ステージの内容も素敵でしたが、パフォーマンス後のインタビューも「障がいとは何か」を考えさせられる良いものでした。

後半は、ブルーライトアップセレモニーとsilent lightning ceremony(点灯式)。カウントダウン後、新江ノ島水族館がシンボルカラーである青色にライトアップされました。

セレモニーでは、スペシャルゲストの青木愛さん、デフリンピック選手の高濱彩佑生さん(バレー)、高橋遙佳さん(サッカー)、桂玲子さん(ライフル射撃)とのトークショーも開催しました

「手話」は一つの言語である

「手話は一つの言語」という言葉をサラッと聞くと、「手話は大事だよね」と違和感もなく過ぎてしまうかもしれません。しかし、なぜ「手話は一つの言語である」ことを伝えるための国際デーが2017年につくられたのでしょうか。

私たちは、排除するつもりはなく、排除している。その一つが「手話」だと思っています。おそらく、多くの方が「手話は音声言語に代わるもの、音声言語を補うもの」という発想を持っています。その発想自体が、聞こえない方の文化や言語を対等に思えていない要素になりうるのです

手話は音声の日本語と語順も違えば、必要となる主語や場所などの情報も違います。一つの言語であると同時に、そこには長い年月を重ねてつくられた文化があります。それを対等に扱わず「音声言語を補うもの」という位置付けにされたらどうでしょうか。

英語圏の方に「日本人は英語が話せないから、日本語で補っているんだよ」と言われたら、何を言っているのだろうと驚いてしまうと思います。「手話」は一つの言語であり、そこには文化とアイデンティティがあることを知り、対等とは何かを考えていきましょう

ステージの手話通訳

司会は、手話通訳、要約筆記の皆さんと一緒にステージをつくっていきます。この写真のなかには、3人の手話通訳の方がいます。皆さんがどのような通訳をしているのか、ご紹介します。

司会者の隣にいる手話通訳の方は、司会などステージ上で話す人の音声言語を「手話」に変換し、聞こえないお客さんに内容を届けます。手前の椅子にいる左側の手話通訳の方は、マイクを持ち、ステージ上で使われる手話を読み取り、「音声言語」に変換して手話がわからないお客さんに内容を届けます。手前の椅子にいる右側の手話通訳の方は、ステージ上で話す人の音声言語を「手話」に変換し、ステージ上にいる聞こえない方に見える場所から内容を届けます。多くの通訳の方がいて完成するステージですが、手話言語がもっと社会のなかに浸透すれば、それも変わっていくのだと思っています。

国連総会の決議文では『手話言語が音声言語と対等であることを認め、ろう者(聞こえない方)の人権が完全に保障されるよう、国連加盟国が社会全体で手話言語についての意識を高める手段を講じることを促進すること』とされています。「対等」とは「差別をしない」という意味ではありません。音声言語と手話言語は、対等でしょうか。住んでいる地域や自分のなかにある感覚と向き合い、できることから始めていきたいです

手話講習会時代から仲良くしてもらっている飯塚晃子さん

参考記事:身振りでもジェスチャーでもいい(NPO法人藤沢市聴覚障害者協会 副理事長 飯塚晃子さん)

あらためて、手話言語の国際デーinふじさわ実行委員会の皆さま、当日ご一緒させていただきました出演者の皆さま、手話通訳・要約筆記の皆さま、本当にありがとうございました。

WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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