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【活動報告】1歳児、初めての高校デビュー。高校生たちが教えてくれた「可愛い」の正体

12月12日、神奈川県立藤沢清流高等学校へ行ってきました。依頼をいただいたのは、3年次の「保育基礎」を選択している生徒さんたちへの授業。

テーマは「現代の子育てのリアル」。

教科書には載っていない、大変さもありながら愛おしくて堪らないリアルな日々を伝えるため、最強の特別講師である1歳2ヶ月になる娘を連れて行きました。

SNSのキラキラは「当たり前」じゃない

授業の冒頭、私が生徒たちに見せたのは、娘が生まれた直後の「育児日記」。

授乳、オムツ、睡眠……びっしりと書き込まれた記録は、几帳面だからではありません。「不安でたまらなかったから」です。

私もそうですが、今の高校生たちにとっても、SNSは身近な存在です。
不安になれば、SNSで検索をする時代。だからこそ、彼らにこう伝えました。

「SNSに上がるのは『嬉しいとき』や『自信を持って見せられるとき』の姿だけ。それを『当たり前』だと思ってしまうと、自分の現実と比較して不安になってしまう。情報は0か100かじゃないから、上手に付き合っていってほしい

これは育児に限らない話ですが、とくに正解のない育児の中で、情報の波に飲まれずに「目の前の子」を見ることの大切さを、まずは知ってもらいました。

生徒たちの声(全文紹介)

授業後のアンケートでは、生徒の皆さんから温かい感想をたくさんいただきました。

・真似っこが可愛かった!

・娘ちゃんめっちゃ可愛かったです。 たくさん子育てのお話聞けてとても楽しかったです♪

・まだ会話できるほど喋れてるわけではないけど、何がしたいか伝わってきて可愛かったです。

・子どもを育てることは簡単な事じゃないし親になるのもむずかしくてお母さんってすごいなって思いました。

・楽しかったです!ちゃんと相手の目を見てコミュニケーションしようとしてるのが伝わりました。

・身近にこのくらいの歳の子がいなくて関わるのが久しぶりだったけど、積極的な子でボールを渡してくれたり、受け取ってくれたり、とっても可愛かったです。

・子どもを育てることは可愛いだけじゃなくて大変なことも沢山あるということが学べてよかったです。

・奥さんが不安なときは寄り添って、安心させられるような言葉をかけれるような男になりたいと思った。

・真似して行動するのがかわいいなと思いました。

・みんなの行動を真似しようとしてて可愛いかった。

・1歳ってこんなに歩けるんだなって思いました。喋れなくても「ぁぁああああ」って言う言葉だけで、何が欲しいのか、何が楽しいのかが分かってかわいいなって思いました。

・たくさんお話してて、自分のやりたいこととか伝えていてかわいかった。 たくさんお菓子をたべてて一歳児でもこんなに食べるんだ!とびっくりしました。

・何が欲しいかちゃんと伝えられてて、言葉がなくてもなんとなく意思疎通できていてすごいなと思いました。

・最初から最後までずっと可愛かったです。育児って予想外のことだらけなんだなって改めて思いました。何するかわかんないからずっと見てなきゃいけないけど、それもなんか可愛い愛おしいってなりました。子どもとの接し方の大切さを改めて学べた気がしました。ありがとうございました!

・お話も小さい子との関わりも出来たからとても有意義な時間になりました!ありがとうございました。

・早く子どもが欲しくなりました!!姉弟が下に3人と従兄弟が下に5人いて、色んな年代になる瞬間を見てきて、やっぱり子どもの成長はすごい早いなと感じた。大変なこともあるけどそれよりも喜びとかの方が大きいんだなと感じる。

・1歳児でこんなに喋るし遊ぶのにおどろきました。めっちゃ可愛くて、やっぱり保育士になってお母さん達を助けられるようにしたいなと思いました。

・子どもがお母さんを好きになると、お母さんは嬉しいだけだと思っていましたが、育児などもお母さんが中心になってしまい、逆に疲れたり、自分がこの子の為にしっかりしないとという、責任感なども感じてしまう事を初めて知りました。その為には、周りの人のサポートが大切だと思いました。

・今回の授業を通して、「子どもは頭を柔らかくするための先生」という言葉にすごく共感できました。お母さんの気持ちを支えられる保育士を目指して頑張りたいと思えました!一歳くらいの子どもと遊ぶ機会が少ないので、貴重な経験をありがとうございました!!

「可愛い」の正体は、素直に生きる姿

当日、娘と自由に遊ぶワークショップのあと、一言ずつ感想を話してもらうと、上に書いたような気づきや思いを口々に語ってくれました。

皆さんが「可愛い」と言ってくれたポイントは、すべて「The 1歳」と言えるような、今の娘ならではの姿でした。

そこでハッと、本質を知ることができました。

もし私が連れて行ったのが6ヶ月の娘だったら、きっと「寝返りができそうでできない姿」を可愛いと言ってくれたでしょう。もし2歳になっていたら、「イヤイヤ」と自己主張する姿を可愛いと言ってくれたはずです。

生徒たちが感じた「可愛い」の正体。それはきっと、子どもがその時々を「素直に生きている姿」そのものなのだと思います。

「今できること」を全身で表現する姿こそが人の心を動かすのだと、「可愛い」という言葉が持つ奥深さを、娘と生徒たちから教えてもらいました。

「ありがとう」が「役割」をつくる

授業の中で、生徒たちにどうしても伝えたかったエピソードがあります。

以前、連載コラム(むぎむぎ通信)でも綴ったことがあるのですが、最近、娘がトイレについてきて、トイレットペーパーをカラカラと引いて渡してくれるようになったんです。

それは彼女にとって、自分が見つけた大切な「役割」。
私が「ありがとう」と受け取ると、彼女は満足そうに出ていきます。

「ありがとう」という言葉は、相手の行動に「役割」を持たせてくれます。

そして、その役割とありがとうがセットになったとき、人は「ここにいていいんだ」「自分に出番があるんだ」と安心できるのです。

これは、1歳児だけの話ではありません。高校生の皆さんも、そして大人になっても、人はいくつになっても「役割」という出番を必要としています。

もし誰かの役に立ちたいと思ったり、誰かに居場所をつくりたいと思ったら、まずは小さな「ありがとう」を伝えてほしいことを話しました。

最高の「高校デビュー」をありがとう

授業の後、当日の写真を見返していて、思わず胸がいっぱいになりました。

そこには、本当に楽しそうに、高校生のお姉ちゃんやお兄ちゃんの輪の中へ入っていく娘の姿があったからです。

1歳2ヶ月。彼女にとっては、これが人生初めての「高校デビュー」でした。

母としては「泣いちゃわないかな」「授業の邪魔をしないかな」と少しドキドキしていましたが、皆さんはそんな心配を吹き飛ばすように、「可愛い!」「おいで!」と両手を広げて受け止めてくれました。

何より嬉しかったのは、皆さんがごく自然にしゃがみこみ、娘の視点(75cmの世界)に立って遊んでくれたこと。

言葉の通じない娘の小さな反応を逃さず、それに合わせて一生懸命に応えようとしてくれる姿は、とても優しく、頼もしかったです。幼い娘の初めての冒険を、こんなにも温かく迎えてくれてありがとう。

娘にとっても、私にとっても、忘れられない「高校デビュー」になりました。

関連コラム

今回の授業でもお話しした「子育てから感じる共生社会」や、日々の「予想外」から見つけた気づきは、連載コラム『むぎむぎ通信』でも発信しています。

「違い」が楽しくなるヒントがたくさん詰まっていますので、ぜひ合わせて読んでみてください!

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WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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