コラム

むぎむぎ通信 vol.22「どんな私にもマルをつける、1歳半の娘が教えてくれた『心の自由』」

代表・小川優が綴る、日々のなかの気づきや、心に灯ることばのコラム。

育児、地域、仕事。小さくて、ゆっくりで、ささやかなものに宿る“光”を見つめる連載です。

少しご無沙汰してしまった「むぎむぎ通信」です。

娘はあっという間に1歳6ヶ月になりました。

最近の娘を見ていると、彼女の小さな心の中に、いろいろな感情が芽生え始めているのを感じます。

喜怒哀楽。

とくに「怒」と「哀」の感情が、くっきりと育ってきているようです。

思い通りにいかなくてしょんぼりしたり、泣くのをぐっとこらえたり。全身をバタバタさせて「んー!」と怒ってみたり。

コロコロと変わる豊かな表情を見ていると、「そっか、人にはこんなにも多くの感情があるんだな」とハッとさせられます。

言葉になる前の、そんな小さな感情のひとつひとつが、私にはたまらなく愛おしくて。彼女から溢れかえる感情たちを、まるごと抱きしめる日々です。

そんなふうに、泣いたり怒ったりをフルコースで味わう娘を見つめながら、ふと、私たち大人の毎日に思いを馳せました。

大人になると、どうしても感情の波を平坦に保つことが上手になります。

いつの間にか、「ポジティブは良くて、ネガティブは悪いもの」など、自分の心に点数をつけて分類をしてしまっていないでしょうか?

怒りや悲しみは、人前では出さないのがマナー。上手にコントロールできるのが立派な大人。そんな空気の中で、私たちは無意識のうちに、数え切れないほどの感情に蓋をして、消してしまっている気がします。

それが、大人になるということ。それが、美しいことなのでしょうか。

娘の感情に「これは良い、これはダメ」がないように、大人の私たちにだって、本来はダメな感情なんてひとつもないはずです。

「理由なんてうまく説明できないけれど、なんだか悲しい」

「言葉にならないくらい、モヤモヤする」

そんな、理屈では割り切れない感情も、あって当たり前。でも、出すのは怖い。

自分の感情をまるごと出しても、安心をして日々を過ごせる社会になったら――

その第一歩は、社会の目が変わることではなく、「どんな感情の自分のことも、自分自身が好きでいられる」という自分の中から始まるのだと思います。

「きっと私の中にも、無意識に蓋をしてしまった感情がいるはずだ」

そうやって、無かったことにしている小さな心の声を、意識的に見つけにいってあげる。

「うんうん、今、私怒ってるね」「悲しいよね」って、どんな自分にもマルをつけてあげる。

そうやって、もっと自分の感情を自分自身で自由にしてあげられたら――

私たちは、もっと軽やかに、心を開いて生きていけるはずです。

小さな背中で、今日もいろいろな気持ちを一生懸命に表現している娘。

その姿は、人間にはこんなにも多くの感情があることを、そして「もっと自由でいいんだよ」と、私たち大人に教えてくれているような気がしています。

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WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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