コラム

むぎむぎ通信 vol.20「トトトと、黄色い落ち葉」

代表・小川優が綴る、日々のなかの気づきや、心に灯ることばのコラム。

育児、地域、仕事。小さくて、ゆっくりで、ささやかなものに宿る“光”を見つめる連載です。

娘は1歳1ヶ月。
トトトトトと長く歩けるようになったので、近くの公園へ。

まだ6ヶ月の頃、芝生に下ろすと怖くて泣いていたのが嘘のように、
「(ここ、いつもの遊び場と違うー!)きゃー!」と声を上げながら、
砂のザラザラする地面を嬉しそうに歩き回る。
ライオンの小さな乗り物を見つけては指をさし、揺らしたり、音を鳴らしたり。

やがて、砂の感触が面白くなったようで、
座り込んで両足でジャカジャカ。大笑い。
指でつまんだり、握ってパラパラさせたり、
そこに無限の遊び方が生まれていく。
地面には幼稚園の子が描いたネコの絵もあって、
ただ砂があるだけで、こんなに世界が広がることに驚く。

次は、ザクザク落ち葉にバフッ。
一枚つかんでは「はい、どうぞ」。
集めたり、ちぎったり、風に乗せたり。
その日のお気に入りは、黄色の落ち葉。
両手でつまんで、何度も見せてくれた。

「自然」と遊べるようになった娘を見て、すごく嬉しくなる。
少し大きくなれば遊び方も変わる。季節が変われば楽しみ方も変わる。
自然との遊びは、子どもの成長も個性も、まるごと受けとめてくれる。

いつか、小石を宝物のように並べて道をつくったり、
枝をペンにして地面に思い思いの絵を描いたり。
木の実をごはんに見立ててお店屋さんごっこをしたり、
葉っぱを重ねてケーキにしたり、ドレスにしたり。

水たまりに葉っぱを浮かべて船を走らせたり、
光や影を追いかけたり、
風で飛ぶ葉っぱをつかまえてみたり。

自然と遊ぶ、さまざまな姿を見ることができるのだろう。

自然には、決まった遊び方がない。

落ち葉をザクザク踏んでもいいし、
バサッと空に散らしてもいい。
細かくちぎっても、つなげても、ただ眺めていてもいい。

「正解がない世界」は、とても自由で、とても優しい。

社会も、公園の落ち葉のようになればいいと思う。

どの遊び方をしていても気にならないように、
どんな生き方、どんな暮らし方をしていても、
その人らしく、ありのままでいられるように。

正解もなければ、不正解もない。
無限の選択肢があることが、当たり前になったら。

もっと笑いやすく、
もっと楽に息ができる世界になると思う。

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WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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