コラム 日常生活での悩みの解消

ルールにすがる思い

投稿日:2020年5月13日 更新日:

 

ルールがもたらす安心感を上手に使う

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みなさん、こんにちは。小川優です。

今回は、私たちがルールやマニュアルに求めるものを考えてみたいと思います。

 

ルールやマニュアルの安心感

会社や団体、組織の中には、必ずといっていいほど、ルールやマニュアルが存在します。それが安心感につながっていることは多くの方が気づいていると思います。人は多くの場合、自由を求め、自分のやり方が認められることを良しとしますが、日々の変化に対し、ある一定の決まりごとは「自由」以上に、人の心を安心させます。過去の歴史において、村に決まりごとができ、守ることで平和が保たれ、秩序が生まれる…それは、国家の成り立ちや法の成り立ちなどでも多く語られてきたことです。最低限やるべきことが決まっていると、それさえやれば、ひとつのハードルを越え、仲間に入れるような、認めてもらえるような感覚になるのでしょう。

 

最低限やるべきこと

ルールやマニュアルの多くは「最低限やるべきこと」が記されています。学生証を開けば、標準服を着るよう書かれていて、そこには、学生へのお勧めのヘアスタイルなどは書かれていません。「先生、それは生徒手帳に書いてありません」などと、学校で制限をされることに対して、最低限のルールをもって対抗したことを思い出します。不思議とルールやマニュアルは、最低ラインの決めごとであったはずなのに、いつしか、それさえやれば、完璧なのではないかという錯覚が起き始めます。

私が特別支援学校に勤務していたのは、ちょうど東日本大震災が起こったり、医療ケア(藤沢市では医療的ケア)の子どもたちが多く入学するようになったりした時期でした。災害時対応、緊急時対応、個別対応など、多くのマニュアルを勤務の中でつくってきました。生徒一人ひとりの個別性を考慮すると、マニュアルは無数に必要になります。そして状況を加味すれば、そのマニュアルは無数の矢印で展開されることになります。

地震が来た、屋上に避難をしなくてはならない、○○ちゃんが仮にてんかん発作を起こした場合はこうする、それに加え、チアノーゼが出たら、その時ケガをしたら、隣にいつもいる○○くんがパニックになり、走って行ってしまったら、そこにいる教員が偶然にもいつもそばにいる教員でなかったら…

想定される多くの事態を、1枚のマニュアルにおさめることなど、到底不可能であり、マニュアルに求められる「誰にでもわかりやすい」から、かけ離れてしまいます。シンプルさを求められるマニュアルを手順通りおこなう、それは「最低限」であり、個別性や具体的な対応は、その場に合わせ、頭をつかい展開していくものです。どこかマニュアルをこなせば、対応としては100点という発想が、生まれてしまってはいないかと不安に思います。

 

グレーが苦手

緊急事態宣言が延長され、まちは多くの「自粛」にあふれています。ただ、以前と少し違うのは、休業要請が延長されたものの、お店の判断に任される部分も出てきました。

うちはやる?いつから?周りはやっている…うちもそろそろ?バスのダイヤが元に戻ったんだって、え、じゃあ開く?

これはルールが曖昧になったときに起こってしまう苦しさです。私たちの感覚は勝手なもので、ルールに縛られれば、窮屈に感じ、少しの自由が得られると、飛び出し方が分からず不安を覚えます。「誰か決めてください」この感覚は、今回の新型コロナウイルスに始まったことではありません。ルールに当てはまらないグレーの部分を私たちはどう扱ったらよいのか分からなくなり、不安を覚え、対応に右往左往してしまうことがあります。医療の現場では、診断名がつき、ホッとされて帰る方がいらっしゃいます。もちろん、反対もしかりですが、ここでは、ホッとされた方の心を見ていきます。ホッとされる方の多くは、「何か変だと思っていたんだ、ここに原因があったのか」と、発達障害や精神障害など障がいの分野であったり、「どこにいっても病名がない、治療法も分からなかった」と、難病や症例の少ない病気が判明したときに起こります。グレーからの脱却が、私たちがルールにすがっていることを気づかせてくれます。

 

私なりのルール

グレーは、いつか白や黒になるとは限りません。何気ない日常の中にも、白でも黒でもないグレーの部分が常にあり続けます。そこに苦しさを感じない場合は、大きな問題にならないのですが、このグレーの存在に戸惑いを感じるとき、その状況を救ってくれるひとつの方法が「ルール」ではないかと思っています。私たちは生きていく中で経験を積み重ね、無意識のうちに自分の信念をつくっています。その信念をもとに、分なりのルール」をつくれたとき、人は少し安心して前に進むことができるのだと思っています。信念というと、立派なものでないといけないように聞こえますが、何でもいいのだと私は思います。あなたがやってきたこと、あなたのすぐそばにあるものにしっかりと目を向けて、「自分頑張ってきたじゃん」と褒めてあげることで、自分が大切にしていることが見えてくるかも知れません。無理なく進めてくださいね。

 

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小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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