障がいとの出会い・受容・悩み インタビュー 障がいの穴・感じること

いつまでも少年の心のまま、好きなことを(多川知希さん)[No.011]

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パラリンピックや世界選手権、多くの舞台でパラアスリートとして活躍する多川選手ですが、今回は「選手」という肩書を脱いでいただき、ひとりの多川知希さんにお話を伺いたいと思いました。等身大の多川さん、トップの大きい写真は、プライベートでシャワークライミングに行ったときのものをいただきました。それでは、インタビューよろしくお願いします!

 

多川さん、選手ということを一旦忘れてくださいね。それでは、どんな性格なのでしょうか?

真面目だと思いま。つまらない人間です(笑)

 

え~つまらない人間ではないでしょう(笑)

会社では真面目だねって言われることが多くて、そこまでやらなくてもいいのに、とか言われることも多いですね(笑)

学生時代の友達からは真面目って言われることは少ないです。なんだろ…あんまり自分の性格って人から聞かないから分からないな。まぁ、明るい方だと思います(笑)

 

確かに、周りの人から「君の性格はこうだね~」とかなかなか言ってもらえないですよね。今でも学生時代のメンバーと会うことはあるんですか?

あ、会いますね!小学校の友達とは結構会います。小学校で6年2組だったんですけど、6年2組のクラスは仲が良くてよく会いますね。あとは大学の友達が一番会うかな…

 

多川さんて、どんなことが好きなんですか?

漫画が大好きです。電車での移動中は大体スマホで漫画を読んでいます。あと、テレビを見るのも好きで、コロナ禍でよりテレビを見る時間が増えましたね。

 

ちょっと意外でした。どんなジャンルが好きなんですか?

漫画はジャンル問わず、幅広く読みますね。少年ジャンプの漫画が多いかな、いつまでも少年の心をもって(笑)なので、少年ジャンプの漫画ばっかりです。家ではあんまり読まなくて、読むのは移動の時間ですね。家ではテレビばっかり見ています。テレビはバラエティ、ドラマ…いろいろですね、結構、録画して見ることが多いです。休みの日でも、朝早く起きちゃうことが多くて(笑)朝の時間を使って、録画したテレビを見ることが多いです。平日は夜練習などがあるので、なかなか忙しくて見られないんですよね。……え、番組名ですか?恥ずかしいのでやめておきます、シークレットで(笑)

 

そうすると、平日はフルタイムで仕事されて、夜は練習、合間に漫画やテレビとかを楽しみ…土日はどんなことされているんですか?

土日の午前中は基本練習ですね、走っています。午後はウエイトトレーニングとか身体のケア…あとコロナなので最近は行けていないのですが、買い物に行くのも結構好きですね。

 

買い物?…スーパーですか?

いやいやいや、今日はここのネギが安いとかそんなんじゃないです(笑)

結構、僕、洋服とか好きなんですよ。新宿にある伊勢丹のメンズ館とかを見て回るのが好きだったり、いろいろなバイヤーさんが新しいものを揃えていたりするので、流行というか、そういうのを見に行くのが好きですね。今はなかなか行けませんが。

 

そうだったんですね!オシャレするのも好きなんですか?

そうですね、割と好きですね。洋服とかにお金かけたりするのも好きで…おしゃれかどうかは分かりませんけど(笑)

最近は買ってないけど、高いものも買いますね。そういうところにお金使っちゃうタイプで、たとえば、Tシャツとかでも気に入ったデザインだと、1万円とかしても買っちゃうし、欲しければ高いなって思わないですね。……今年の良い買い物ですか?そうですね、海外の少し高いブランドだったんですけど、羽織るやつでかっこいいなって思うのがあって買いましたね。コロナの前の話ですけど。

 

多川さんがオシャレさんだということが分かったところで、話を変えてしまうのですが、障がいのこと伺っていきますね。ご自身の「障がい」を感じる瞬間ってありますか?

障がいを感じることはほとんどないですね。先天性ということもあり、慣れてしまってるんだと思います。人から「手がないですね」とか言われるシーンも、なかなかないですしね(笑)逆に、僕の手がないのを見て、優しくしてくれる感はあります。買い物したあとのビニール袋って有料になったじゃないですか、地元の商店街で焼き鳥とかを買うと、サービスしてくれて。袋のほうが持ちやすいだろうってことで、ササッと袋に入れて渡してくれたり。別に障がいがあって可哀そうねって感じではなく、そのほうが楽だろうって考えて入れてくれる感じです。

 

さりげない優しさって嬉しいですよね。地域の中で助けてもらうことを、どう感じていますか?

大変嬉しく思いますし、ありがたいことだと思います。「障がいだと思って、舐めないでくださいよ」なんて言うつもり、全くないですし(笑)

助けてくださる方がいるなら、ありがとうございますって思いながら、これからも一人で何でも頑張るのではなく、皆さまに助けられながら生きていきたいというのが本音です。

 

地域の方からの視線などを日常で感じることはありますか?

あー、あまりないです。だけど、Tシャツとかで歩いていると、「あ、手がない」って、一瞬、人の目に留まってるなと思う場面はありますね。でも、指をさされたり、ひそひそ話されたりとかは全くないですね。

たぶんそれは、街中で綺麗な人を見たりしたときに「あ!」って見てしまうレベルと同じだと思うんですよ。綺麗な女性とか、かっこいい男性とかが歩いてたら、一瞬見ちゃいません?それと同じようだと思っていて、自分の中の常識からちょっと離れているとか、あれ?何かな?って見てしまう、それって仕方がないことかなって思っていて、僕も手がない限り、「あれ?手がない」ってチラッと見られる…それって普通なのかなって思います。

 

そうですね、確かに。すごくオシャレな格好をしていたり、奇抜な髪形だったりすると、え?今のどういうことだろう?みたいに見返しちゃうことってありますね。ちなみに、多川さん、それで苦しくなっちゃうとかはないですか?

そうですね、自分の障がいに自信を持てるようになってからはないですね。それ以前で考えると、卑屈になるわけではないけど、やっぱりあえて見せたくないっていう感情もあったので、右手がないことを気づかれないようにしようとしてましたね、子ども時代とかは。

 

多川さんにとって「障がい」とは何でしょうか?

大人になるにしたがって考え方が変わってきた感じはあります。僕は自分一人で何でもやらなきゃいけないとは思っていなくて、障がいがあってもできることを見せなきゃとも思っていないです。

ただ、ある程度ここまでは自分でやらなきゃいけないなっていうラインはありますけどね。周りの人に助けてもらわなきゃいけないなって思えてきたのは、大きくなってきて、実際にできないことも増えてきたって気づいたときですね。小学校とか中学校の頃は、できなくても、できていないことに困らなかったんです。でも、大人になってくると、できないことはできないってちゃんと言わないと、周りに迷惑をかけたりとか、自分に返ってくるものばかりでもなくなってくるので。

こんなことを思っていてはいけないのかも知れないのですが、「障がい」とは、利用できるときに利用するものとも考えています。障がい者に対する各種割引もそうですが、「障がいをもっているのに頑張っている、凄いね!」や「できないんだったら全部やってあげるよ」といったように、障がいに対する周りの方のご厚意をりがたいと感じたときには利用するものだと思います。

だから、変に「障がいと思われたくない」と戦う必要もないし、「障がいがあるんだからやってよ」と主張する必要もないし、ありがたいなと利用させてもらう感じですね。

 

必要な考え方ですね。これからの目標や伝えていきたいこと、最後に教えてください。

僕自身「障がい者だから」とか「長くパラスポーツに携わっているから」などの使命感は実はないんです。「健常者と障がい者の懸け橋になりたい」とか、文章で書いたりすることもありましたが、今考えてみると、実際そこまで深くは思っていなくて。

自分が単純に好きなこととか、楽しいことをやり続けているんですよね。走ることもそうだし。

なので、普通に自分の人生を生きて、結果、周りの人に刺激を与える存在になりたいし、そういった存在であり続けたいと思います。

障がいをもっているからやらなきゃという使命感ではなくて、自分も周りの人と同じように、楽しいこととか好きなことをやり続けたい。僕にとって好きなことは、障がいとともに試行錯誤するスポーツの世界にあっただけなので。その結果として、パラスポーツが普及したり、障がい者に対する見方が変わったりだとか、そういったことが起きてくれればいいかなと思うくらいです。積極的に障がい者の見方を変えたい!って動いているわけではなく、ただ好きなことをやっているって感じですね。

2017年ロンドンでの世界選手権…帰りのバス♬

 

インタビューを終えて

多川さんの「使命感ではなく、好きなことをただやっている」…これって素敵なことですし、きっとそのエネルギーは「伝えたいから何かをやる」よりも「伝わる」のかなと感じます。

 

今回は多川さんのプライベートを伺うことで、いろいろな色を見させていただきました。

もうひとつの記事では、アスリートとしての多川さんを取材しています。そこでは、昔、障がいを見せたくなくてTシャツを着たくなかったというお話…そして、今回はオシャレな1万円のTシャツ!

 

パラリンピックのメダリストというと、底知れぬ努力とサクセスストーリーを想像し、偏見に堪え、障がいを受容する…という、私たちの勝手な固定観念が邪魔をすることがあります。

等身大の多川さんは、きっと焼き鳥を買って、今日も朝から録画番組見ているのかな…何の番組か教えてほしかったな(笑)と、もっともっとリアルでカラフルな多川さんを教えていただきました。

目立つ1色をもっていると、その色に目がいってしまうけど、人はいろいろな色でできている。広がる取材をありがとうございました。

 

 

多川知希さんのパラアスリートとしてのインタビューはこちら♬

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小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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