インタビュー

ペットにも「障がい」があり「病気」がある(ことりのおうち 髙見広海さん)

「ペットにも、障がいの子はいるし、病気の子もいる」同じ生き物としての当たり前を教えてくれたのは、藤沢市長後を中心に、街がつながる企画を展開する髙見広海さんでした。長後こども食堂や居場所の提供もおこなう髙見さんですが、今回は生き物の命について一緒に考えたいと思い、取材をお願いしました。ことりのおうち~ふれあいインコカフェ~へ伺うと、元気に飛び回り、大きな声で鳴いているインコたちが印象的です。しかし、その片隅にペット用の暖房器具とともに、小さく呼吸をする命とも出会いました。生まれたときから「障がい」がある「病気」がある…人間がつくっている市場の中では、なかなか出会うことができない確かな命が存在していることを伝えてくれました。

まずは、髙見さんの仕事について教えてください。

いろいろとやっているので、自分は何屋さんかなと思ってしまうこともあるのですが、本業は園芸家です。園芸植物の販売や植栽、造園、農業高校勤務などをしながら、インコと触れ合うインコカフェとインコや小動物、金魚等の生体販売もしています。小さい頃から、植物が好きで、当時は団地に住んでいたんですけど、そこにある花壇で小学生の頃から花を植えたり、土いじりをしたりするのが好きでした。家の中では、インコを飼ったり、金魚を飼ったり、ハムスターを飼ったり…何かと生き物と触れ合う機会が多かったです

髙見さん
髙見さん

小さい頃から、植物や生き物が身近だったんですね。それでお仕事に?

そうですね。順番でいうと、植物で仕事をし始めて、金魚が好きだったのでお店で金魚の販売も始めて…、その後、別の場所でペットコーナーを任されるようになりました。最近は子どもたちが動物と触れ合う機会が減ってしまっていると思っていたこともあり、もう少し「ふれあう機会」にもアプローチしたく、あの頃は「ふくろうカフェ」ができてきた頃だったので、それならインコカフェやろうと6年前に「ことりのおうち」をオープンさせました。そうすると、今度は生き物を引き取ってもらえないかという声があがってくるんですよ。実際に問屋さんなどでも傷ついている子を目にする機会もあり、そうすると「生き物でご飯を食べさせていただいているんだから、命を大切にする活動しよう」と自然な流れで、今に至った感じですね。なので、ことりのおうちは【~ふれあいインコカフェ~】と【~バードアニマルレスキュー~】の2つの柱でやっています。

髙見さん
髙見さん

私たちの暮らしは、いろいろ生き物と接点があって、その中で「一緒に暮らす」を選んでいる方も多いです。髙見さんの経験から「ほかの生き物と暮らす」その良さを教えてください。

人間が成長し生きていくためにも、生き物たちの存在はなくてはならないものだと思っています。自分もそうですけど、生き物から命の大切さを学ぶことで、人の命の大切さも理解できているのかな、と。子育てと同じで、お世話は大変ですけど、それ以上の喜びも得られるものだと思っています。子どもの頃を思い出すと、とにかく生き物が好きで飼っていたんですよね。とくに今回、小川さんがいう「障がい」にスポットを当てて考えてみると、金魚の世界…アクアリウムの世界って「障がい」が混ざっていることが多くて、個体数が多いというのもあるんですけど、片目の子がいたり、見た目としても違う子がいました。ペットショップとかで水槽を見ていると、そういう子がいてそうすると「持って帰る?」とおじさんがくれたり、言い方は悪いのかも知れませんが、綺麗な子とそうではない子がいて、でも同じ金魚だよなと。植物でも同じようなことはありましたね。どうして、いらないと思われてしまう命があるのだろうと。

髙見さん
髙見さん

あらためて…あたりまえのことを聞きますね。ほかの生き物にも「障がい」がある、「病気」はあるってことですよね?

そのとおりです。ペットも人間も同じ生き物。なので、障害もありますし病気もありますしケガもします。本当に、あたりまえのことなんですよね。でも、なかなか目にすることがないのは、市場に出回らないという現実です。アクアリウムの世界は混ざることが多いといったのは、それでです。生き物を購入するという活動によって、自然と障害や病気の子たちを排除し健康な子、慣れてて良い子だけを求める、人間が求めた社会になってしまっています。だからといって、お金を払って購入しないシステムも命を粗末にしてしまう社会につながってしまうこともあるし、これは本当に難しいなと思っています。

髙見さん
髙見さん

選べる環境におかれると、元気な子を選んでしまう、自分にとって可愛い子を選んでしまう…それは悪いことではないし、それも、「あたりまえ」なのかも知れませんよね。複雑です。私も「同じ命」「命に差はない」と生きてきたので、ではどうしたらいいのって考えると難しいです。

人間社会の売り買いの中に出てきていないという時点で、命の選別がおこなわれていますからね。昔のインコの本とかを見ると載っているんですよ、『元気な子の選び方』って。購入する段階でも、その中で元気な子を選びたい、長く一緒に暮らせる子を選びたい…。病気になったら命の価値は変わるのか、障害があるから命の価値は変わるのか…命としての値段は変わらないはずなのに、と思いますよね。だからっていうのも変だけど、うちが引き取って、そういう子たちを可愛がってくれる方につなげていこうと思った感じです。障害あってもなくても線引きしないで愛せる社会になると、すべての生き物が幸せになれると思うんです

髙見さん
髙見さん

病気になったり、痛みがあったり、何かをしづらいという障がいがあるだけで、その子にしてみたら、生きる苦しさもあるのに…価値まで下がってしまうって何でしょうね。髙見さんがつくるこの空間の中では、限りある命と分かりながら向き合う場面もありますよね。そのときに、高見さんが大切にされていることは何でしょうか?

ありますね。先日も2匹のハリネズミを看取りました。この2匹はうちに来たときには足が化膿していてどうすることもできなかった子たちでした。ほかにも、幼いインコの雛が病気になっていて、愛してくれるであろう家族につなげることができないまま、うちで生涯をまっとうしてしまったりと…命の最期と向き合わなくてはいけないことがあります。

長い命でも、短い命でも、幸せになってもらいたいって単純に思うんですよね。誰かのおうちの家族になって愛される経験をしてほしいって思うけど、間に合わないと思うときもあります。自分にできることは、生まれてきたことへの感謝と何もしてあげられなかったという謝罪ですね。あとは、冷たいのかも知れませんが、謝罪と同時に、その死を引きずらないで、次の子たちの幸せになるチャンスをつくることに力を注ぐよう、意識をもっていっています。

髙見さん
髙見さん

「生きる」とは?「障がい」とは?何だと思いますか?

「同じ命」ですね。障害があるからといって、どの子も亡くなってしまうわけでもなく、生きる命ももちろんあります。不自由さはあるかも知れないのですが、人間が気にしているだけで、本人たちは気にしないで元気に生きていますし、障害があるなりに工夫をして、生きていく術を身につけていく場合がほとんどです。私たちの勝手な感情の「可哀そう…」ではなく、もっと向き合ってもらえたらなと思うんです。ペットも人間も、障害があってもなくても、同じ生き物であり同じ命ですからね。

うちのお店にいる、目の前にある命のことをいっているわけではなく、もっと広い視野で、犠牲になってしまっている見えていない子たちが幸せになれるチャンスをつくっていきたいと思います。自分自身も生き物を飼ってきて、命の大切さに気づけたので、ペットを飼うという文化がなくなればいいとは思いません。人間が動物と接することがなくなったら、もっと相手の命のことが分からなくなるんじゃないかなとも思います。感謝の気持ちを持って育てることで学ぶことがあって、お互いに幸せにし合うことが大切なんだと思っています。

髙見さん
髙見さん
病気の雛たち
首が曲がって生まれた
喉に腫瘍がある

インタビューを終えて

髙見さんの人柄があふれたインタビューになりました。

人間同士であっても、まだ「同じ命」という感覚は、あたりまえになってはいないと、私は思っています。

今回、お話を伺いながら、ひと同士でも難しいのなら、ほかの生き物となると何段階もハードルがあるかも…と思いました。

ただ、もしかすると、ペットのことのほうがすんなりと受け止められる方もいるのかも…とも感じています。

どちらがスタートであってもいいですし、世の中の経済を考えれば現実的ではないというのも、確かだと思います。

行動は変えなくても、想いを広げることはできる、「知る」ということは、新しい広がりにつながります。

今回、ペットにも「障がい」がある子や「病気」がある子がいること、そして、私たちが見ている命というものは狭い世界であり、広くいろいろなかたちの命があること、それをお伝えできたらなと思いました。

下顎が生まれつき短い
片目が見えていない
お花と髙見さん

ことりのおうち

住所:〒252-0802 藤沢市高倉641-5

電話:080-3428-8792

営業時間:11時~18時  定休日:木曜日・第一日曜日

WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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