お知らせ

【活動報告】横浜瀬谷高校にて、教職員対象人権研修(講師)

11月21日(火)、県立横浜瀬谷高校で「教職員対象人権研修」を担当しました。今年度のテーマは「障がい者の人権」でした。研修では、心のバリアフリーや合理的配慮などの座学にはじまり、4つの視点で横浜瀬谷高校にある「バリア」を考えるグループワークをおこないました。

グループワークの発表では「学校は音声による情報伝達が多いことに気づいた」「特定の人しか通えない構造になっている」などがあがりました。日常を見つめ直し、そこに「気づき」が生むことは、共生社会の第一歩だと思っています。とても良い時間でした。

教職員対象人権研修〜障がい者の人権〜

研修で使用したスライドの一部です。

先生たちからの感想

研修後、内容に対する感想や共生社会をつくっていくために大切なことを伺いました。

研修内容に対する感想

●新たに視野を広げる良いきっかけとなりました。
●障がいにもさまざまな課題があり、生徒理解のためにも、障がいの知識を深める重要性を実感した。
●学校の中で対応が可能なところ、難しいところの線引きが、難しいなと感じました。高校だと、ある程度学力層が固まっているので、課題となる部分もそれぞれだと思います。とりあえず、他校を参考にするというのができない部分もあり、しっかりとそこにいる職員が考えていかないといけないと改めて思いました。
●改めて、共生社会の重要性を認識した。特に神奈川県では、憲章にも「ともに生きる」とあるとおり、凄惨な事件から共生社会に対する理解度は深く求められるところと考えている。
●障がい者の人権という研修に対して受け身の状態で講演を聞いていました。
●わかりやすい資料と説明で、内容がすっと入ってきました。改めて気づかされることが多く、改善できるところはしていきたいと考えました。
●非常に丁寧に教えていただいた。また、現場でどう落とし込むかの話し合いを通じて、本校にはバリアフリーがあるところを探す方が難しいという状況であることがよくわかった。
●普段生活している校舎内に、思った以上にバリアがあることがわかった。自分にとってはバリアでなくても、他の人にとってはバリアになってしまう物事がたくさんあることがわかり、勉強になった。
●合理的配慮という言葉は学習指導要領にも記載されていましたが、よくその意味を理解しないままここまで来てしまいました。今回の研修を終えてそれらの言葉の意味をしっかりと理解することができました。また、自分が当たり前に見過ごしていることも障がいのある人にとっては壁になりうることも学ばせていただくことができました。
●集団性の教育と、多様性への配慮のバランスが非常に難しいと感じた。
●グループワークの中で、「気付く」ことと「行動に向けての合意」の難しさ(視点・視野が人それぞれ)を感じた。
●身の回りに障がいのある方がいないので、今後出会ったときに環境などの配慮を考える良いきっかけになった。
●実際に、横浜瀬谷高校で障がいになりうる場所を考えてみると、予想以上に多いと思いました。今後、そういった場所をどうするかグループ等でも考えないといけないと感じました。
●お忙しい中、講演をしていただきありがとうございました。私の個人的感想ですが、学校で障がい者を受け入れる場合、ある程度までの障がいのある生徒しか受け入れられないような気がします。どんな障がいのある生徒でも受け入れるというのは、私はちょっと厳しいと思いました。
●横浜瀬谷高校は健常者の生徒が多く、今回の研修のテーマのようなことは日頃考える機会がなかった。しかし、今回の研修を経て、支援の考え方や意識を深めることができた。
●合理的配慮に関して理解したとともに、普段生活している環境を考えると配慮が足りないことが多くあると感じることができました。
●障がいの種類について、あやふやな理解だったので、その点を改めて知ることができたのも良かった。また関係するサイトの情報も提示していただけたので、疑問があったらぜひ今後も参考にしていきたいと思う。とても有意義な研修で、時間があっという間に経ってしまいました。ありがとうございました。

共生社会をつくっていく上で大切だと思うこと

様々な境遇の方々からのご意見をいただく

相手が困っている可能性を1つの視点だけでなく、複数の視点で考えたい。

まずは相手の気持ちになること、寄り添うことから始めていきたい。

認め合いと、相手への配慮

まずは、他者を理解しようとするところから始まるかな、と考えます

自分が手助けできることから始める

気づくこと

相手の気持ちになって考えること、社会の変化を受け入れること

他者の目線で物事を考えること

さまざまな立場に立って物事を見てみることが大切なのかなと思いました。

また、できるだけ個人の話を聞いて改善できるところはするべきだと思いました。

画一化されたルールやマナーを押し付ける社会構造を「間違いである」と、従来の常識を疑う感覚が大切であると思う

障がい者・健常者が、ではなく、「社会が」という意識の転換

互いの立場や視点に立つこと

多くの研修受けることや知識をつけること

障がいがある人もない人も、お互を尊重し、お互いを理解することが大切だと思います。ただ、言葉で言うほどそれは簡単ではないのではないかと思います。

お互いが気持ちよく助けたり、お互いが共に感謝の気持ちを持って助けられたりできれば良いのかな、と思います。

互いを深く知り合える仕組みを作ること

どの立場の人でもすごしやすい環境にすることが大切であり、考えることも大事だと思いますが、実際にお話を聞いて理解することも大切であると思います。

コミュニケーションを積極的に行うこと。

相手の思いや必要なことを想像することも大切だが、相手の方が本当に必要な事や思いを知るためには、思い切って声をかけることが大事かと思っている。

今後受けてみたい研修(障がい福祉分野)

●バリアフリーに関して
●学校現場の話になってしまいますが、インクルーシブ教育の実践校では、どういう風になっているかが気になります
●パラリンピックについて知りたい
●インクルーシブ教育の現状について
●障がいのある方との運動方法について
●障がい福祉分野に関する法や条例、諸制度について
●実際の障がいのある方の体験

日常を見つめ直す

「ともに生きる」「インクルーシブ」「共生社会」、いろいろな言葉で「こうありたい」と思う社会像が語られますが、どれも言葉がきれいにまとまり、どこか机上の空論になってしまうことがあります。

今回のグループワークでは、日頃、勤務している学校を見つめ直してもらいました。物理的なバリア、制度上のバリア、情報面でのバリア、意識上のバリア…視点を変えると、一つの側面でも複数の足りないところが見えてくるものです。

グループワークでは、グループで考える前に個人ワークをしてもらい、一人ひとりに考えてもらう時間をつくりました。そして、グループで共有。改善策を考えるワークでは「改善策がない」という答えも、答えであると伝えました。

これから、私たちがつくる社会は一筋縄に答えが出るものではないと考えています。また、その難題は日々変化をしていくものです。果てしない問いと向き合い続け、考え続けること、それが私たちにできる「ともに生きる」なのだと感じています

教職員対象人権研修という場をいただき、教育職の皆さんと気づき合えたことをとても嬉しく思います。このたびは、貴重な機会をありがとうございました。

WRITER

小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

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