やさしい日本語がつくる、伝わる社会【アナレポ#22】

藤沢市内のアナをあける活動を取材する『アナレポ』
1月24日(土)、「湘南やさしい日本語プロジェクト」として活動されている井上 恵さんに取材を行いました。今回のテーマは「やさしい日本語」。やさしい日本語とは、日本に住む外国人とコミュニケーションをとるための日本語で、「易しい表現」と「優しい気持ち」を持って相手に接することを大切にした言葉の使い方です。
井上さんは、外国人に向けてではなく、日本人に向けてやさしい日本語を広める活動をしています。日本で暮らす外国人が増え続ける今、日本人の側が歩み寄り、伝え方を工夫することが必要だと話してくださいました。
(取材:佐藤 晴・大学1年)

災害時に命を守る言葉
やさしい日本語が特に重要になるのが災害時です。
阪神・淡路大震災では、外国人の死亡率が日本人のおよそ2倍だったと言われています。避難情報や注意喚起が十分に伝わらなかったことが、その背景にありました。
現在、日本に住む外国人の数は年々増えています。災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、非常時になってから対応するのではなく、普段からやさしい日本語を使えるようにしておくことが大切です。

「ハサミの法則」で伝える
やさしい日本語の基本として、井上さんが教えてくれたのが「ハサミの法則」です。
- はっきり
- さいごまで
- みじかく
日本人同士の会話では、すべてを言葉にしなくても「察する」ことができます。しかし、外国人にはその「察する文化」が通じないことが多くあります。だからこそ、あいまいにせず、最後まで言葉にして伝えることが重要なのです。
また、「外国人=英語が話せる」と決めつけてしまうのも間違いです。英語が得意でない外国人も多く、やさしい日本語の方が伝わりやすい場合も多いといいます。

母語である日本語を見直すきっかけに
やさしい日本語を学ぶことは、外国人のためだけではありません。
井上さんは、「やさしい日本語を学ぶことで、改めて自分の母語である日本語に向き合うことができる」と話します。
普段、無意識に使っている言葉を「これは難しくないか」「もっと短く言えないか」と考えることで、自分の伝え方を見直すきっかけになります。それは、コミュニケーション力そのものを高めることにもつながります。

家でできる「3文トレーニング」
やさしい日本語は、特別な場所に行かなくても、家で簡単に練習することができます。その一つが「3文トレーニング」です。難しい単語を、3つの短い文に分けて言い換える練習をすることで、「ハサミの法則」を自然に身につけることができます。
また、本を使った学習や、「やさしい日本語普及連絡会」のインスタグラムアカウントなど、身近なSNSから学ぶ方法もあります。日常生活の中で少し意識するだけでも、やさしい日本語は身についていきます。

ユニバーサルな言葉としての、やさしい日本語
やさしい日本語は、外国人だけでなく、知的障害のある人、聴覚障害のある人、高齢者にとっても大切なものです。
はっきり、最後まで、短く伝えることは、誰にとっても理解しやすい表現だからです。
つまり、やさしい日本語は、特定の人のためのものではなく、すべての人にやさしい「ユニバーサルな言葉」だと言えるでしょう。

違いを受け入れ、面白がる社会へ
日本には、「みんな同じであることが良い」とされてきた風潮があります。しかしこれからは、外国人を受け入れ、違いを認め、新しい発見を面白がる姿勢がより一層求められていきます。
やさしい日本語は、その第一歩です。
日本人の側から寄り添い、伝え方を変えることで、誰もが安心して暮らせる社会に近づいていく。今回の取材を通して、やさしい日本語が持つ大きな可能性を感じました。

ふじさわこたね
〜学生がまちの福祉に出会うアナレポプロジェクト〜
このプロジェクトでは、学生が取材を通して、藤沢の福祉と出会い、それぞれの気づきとともに地域をレポートしています。【プロジェクト詳細】





