インタビュー

盲目のシンガーソングライター栗山龍太さんと学んだ「つながり合う力」【アナレポ#5】

藤沢市内のアナをあける活動を取材する『アナレポ』

8月6日(水)、秩父宮記念体育館で「夏休み!ふくし体験教室」が開催されました。参加したのは小学生8人と、中学生から大学生までのボランティア6人。夏休みの特別な一日、子どもたちは「福祉」を体験し、障がいと共生について考える時間を過ごしました。

(取材:佐藤 晴・大学1年)

栗山龍太さんの生き方

ゲストとして登場したのは、盲目のシンガーソングライター・栗山龍太さん。小学6年生のときに病気で視力を失った栗山さんは、現在、音楽活動を続けながら盲学校で整体を指導しています。整体を教えている理由について「自分ひとりの力でできるから」と語ります。子どものころから水泳や柔道など“一人で完結できるもの”に打ち込み、自らの力を信じて積み重ねてきた経験は、その後の生き方にもつながっているようです。

講演では、盲目だからこそ体験した出来事をユーモアたっぷりに語ってくれました。「大変そうだと思われがちだけれど、角度を変えれば楽しいこともいっぱいあるんです」との言葉に、子どもたちはときに笑い、ときに驚きながら耳を傾けました。そして栗山さんは「盲目の自分にしか伝えられないことがある」と強調しました。見えない世界で感じること、障がいを持つからこそ気づけること。それを言葉と音楽で伝えることが、自分の役割だと信じて活動しているのです。

補い合うことが力になる

続いて行われたのは、視覚障がい者スポーツ「ゴールボール」の体験。参加者はアイマスクを着け、鈴の入ったボールを音で探りながらゴールを狙います。最初は「何も見えなくて怖い」と口にしていた子どもたちも、仲間の声やボールの音に耳を澄ませるうちに少しずつ感覚に慣れていきました。試合が進むにつれて笑顔が増え、「楽しかった!」という声が会場に響きます。視覚を奪われる体験を通じて、子どもたちは“見えなくてもできることがある”“仲間と補い合うことが力になる”と実感できたようでした。

印象的だったのは、会場にいた赤ちゃんに栗山さんが優しく触れた瞬間です。見えなくても、赤ちゃんに向ける笑顔や仕草はとても穏やかで、見ていた私の心に強く残りました。その姿は、「相手を思いやる気持ちは見える・見えないを超えて伝わる」という事実を静かに教えてくれていました。

アイスル魔法

プログラムの締めくくりは、栗山さんの代表曲「アイスル魔法」。

「僕らの世界はまるでジグソーパズルみたい」
「誰にも必ず居場所があり、君にも僕にも役割がある」

歌詞に込められたメッセージは、講演やゴールボール体験と自然に重なっていました。人は一人ひとりが大切なピースであり、欠けてはならない存在です。そして「僕らはいつでもそうみんなで補い合ってる」という言葉は、まさに参加者が体験を通して学んだことそのものでした。

さらに「君がいるから広がるよイマジネーション」というフレーズは、健常者と障がい者が共に歩むことで、新しい発想や楽しさが生まれることを示しています。栗山さんが目指すのは、障がいを特別視せずに「福祉をもっと身近に」感じられる社会。そして健常者と障がい者が対等に「つながり合う社会」です。音楽と語りを通じて、その未来への願いを会場の子どもたちに託したように思えました。

社会を温かくする一歩

最後に栗山さんは「少し余裕があったら、街で困っている人に声をかけてみてください」と呼びかけました。重たい荷物を持つ人、道に迷っている人、そして障がいを持つ人。ちょっとした勇気で手を差し伸べることが、社会を温かく変える最初の一歩になるのです。

「夏休み!ふくし体験教室」は、福祉を学ぶ機会であると同時に、「違いを認め合い、つながることで生まれる豊かさ」を実感できる時間となりました。子どもたちがこの日感じた驚きや楽しさが、日常の中で「誰かを思いやる行動」へとつながっていくことを願っています。

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WRITER

ふじさわこたね

学生が取材を通して、藤沢の福祉に出会い、それぞれの気づきとともにレポートする「ふじさわこたね〜学生がまちの福祉に出会うアナレポプロジェクト〜」です。

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