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みんな、おなじ(インクルーシブひろば~みんなおなじ空の下~ 代表 鈴木理恵子さん)[No.012]

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公園はみんなの場所であり、誰でも使える自由な空間なのでしょうか。2020年11月に市民活動団体を立ち上げた、鈴木理恵子さんは「私もそう思っていたのに、マイノリティになってみたら、そうではなかった。公園はみんなの場所であるようで、実は、みんなの場所になりきれていない」そう教えてくれました。

排除をするつもりがなくても、排除をしてしまっている―本当の意味の「みんなの公園」はどのような公園なのでしょうか?市民活動団体「インクルーシブひろば~みんなおなじ空の下~」代表の鈴木理恵子さんにお話を伺いました。

 

団体の名前の由来にもなる「インクルーシブ公園」とは、どのような公園なのでしょうか?

インクルーシブ公園とは、年齢も障がいの有無も関係なく、みんなが遊べる、みんなが利用できるように工夫された公園のことです。

 

公園はそもそもインクルーシブなのかを思っていました。インクルーシブ公園に関心をもったきっかけは何だったのでしょうか?

うちには3人の子どもたちがいて、下の子たちが双子なんです。その子たちが2歳になる直前に障がいがあることが分かりました。 進行性難病で、歩くことができなくなっていったんです。ただ子育てをする中で、障がいがあってもなくても、公園デビューは「当たり前」だと思っていたんです。しかし、実際に公園に行ってみると、歩けない双子を連れて公園で遊ぶことはとても難しく、ショックを受けました。 子どもたちは「公園に行きたい、遊びたい」と言ってくるのですが、歩けない子が遊ぶには付きっきりの介助が必要で、親としてはとても大変だったのが実際です。それだけでなく、まわりの視線という精神的なつらさもあり、公園に足を運ばなくなっていきました。

公園は障がいのない子のためのもので、基本的にうちの子たちは遊べないんだ…という現実を受け入れつつ、ネットサーフィンをしていたら「インクルーシブプレイグラウンド」というものが海外には存在しているということを知りました。そのときに、今はもうすでに完成していますが、東京には「インクルーシブ公園ができるかもしれない」ということを知ったのです。

 

この子たちが遊べない…というのは、物理的にも、精神的にもってことですよね。まわりの視線というのはどんな感じだったのですか?

見ないようにしている感じですね。嫌な目で見ているというわけではなくて、どう関わったらいいか分からない…とか、子どもが「ママ、なんで車椅子なの?」とか言ってきたときにどう説明したらいいか分からないとか…そういうことだとは思うんです。何となく、周りのお母さんたちの気持ちは想像できるので。ただ、そうであったとしても、近寄らないようにされたり、避けられているというのは分かるものなので、苦しくなりますよね

当時を思い返すと、ディズニーランドなどのテーマパークや、街でいうなら、渋谷のほうが行きやすかったです。いろいろな人がいるのが自然な空間だったので、周りの人たちの視線が刺さることが少なく、視線を気にせず楽しめました。それが日常に戻ると、身近な公園のはずなのに、うちの子たちの存在は特殊で普通ではないと思われてしまうんだなと

 

悪気はないとか、悪気があるとか、そういう問題では全くないですね。お子さんたち、途中から歩けなくなる症状が出たり、車椅子を利用するようになったりしたんですよね。やはり周りの変化はありましたか?

そうです。それまでは、いわゆる普通の成長を辿っていました。1歳半くらいで歩けなくなり、何が原因かといろいろと検査をしていきました。その後、病名が分かっても、年齢も小さかったので、すぐに車椅子を利用できるわけではなかったんです。車椅子を利用するには、操作をするだけの判断能力があるかとか、そういったチェックが必要でした。なので、2歳半くらいまでは車椅子ではありませんでした

車椅子を使うまでは、「普通の双子」とみんな思うので、可愛いねといろいろな方が声を掛けてくださったんです。公園に行っても、スーパーに行っても。それが、車椅子に変わったら、急に「障がいのある子たち」に変わってしまったんだと思います。人が寄ってこなくなり、街の中で「こんにちは」と声を掛けられることがなくなったんです。今まであったものがなくなって、こうなってしまうんだと、変化をすごく感じました。

 

そこで出会ったのが「インクルーシブ公園」で、藤沢市で団体を立ち上げたということですが、どのような団体なのか教えてください

私たちが立ち上げたのは「インクルーシブひろば~みんなおなじ空の下~」という団体です。都内で作られたインクルーシブ公園の要素を入れつつ、新しいタイプの公園を作っていくことを目的にしています。障がいの有無だけでなく、赤ちゃんから高齢者まで、誰もが利用することができ、交流できる公園を作っていきたいと思っています。 新しい地域の居場所づくりを公園からはじめていく、そんな想いです。そこから、インクルーシブな社会を目指す種まきをしていきたいと思っています。

最初はハード面の魅力も大きかったです。都内のインクルーシブ公園へ行くと、今までハード面として公園に行くと介助が大変ということがあったのですが、そこが整っていることに感動しました。ただ、ソフト面での問題があることに気がついたんです。家族で行くならこれで十分だけど、友だちと行くとなるとやっぱり一緒に遊ぶのは難しいのではないかなと。それに、公園って子どもたちだけのものでもないなと気づいたんです。なので、私たちが思うインクルーシブ公園は、障がいのある子たちのための公園ではなく、誰が来てもウェルカムで、誰もが利用できる公園だと思っています。それを市民みんなで作っていきたい、行政任せではなく、市民みんなでアイデアを出しながらニュータイプの公園を実現できたらと思い、団体を立ち上げました

 

本当にそのとおりですね。私も「みんなで遊べる」って何だろうと考えるソフト面へのアプローチが大切だと思いました。実現に向け、これから団体としてどのような活動をおこなっていきたいでしょうか?

一つ目は、ワークショップの開催です。さまざまな立場の市民から、公園に対する想いやイメージ、困りごとなどの意見交換の場を設けていきたいと考えています。ワークショップの形はさまざま考えていて、こちらからインクルーシブ公園とはどのような公園なのかということをお伝えし、「みんなの公園」を市民みんなでどう作っていきたいかという意見を出し合う機会も設けたいと思っています。

二つ目は、市民がもっている公園に対する望や困りごとなどのヒアリング(アンケート調査)です。実際に公園でアンケート調査をすることや学校などでアンケートを取ること、いろいろな世代の声を集めていきたいと思っています。とくに公園に来ていない方、来れない方の意見も拾っていきたいと思っています。最終的には、その市民の声を行政に知っていただくことかなと考えています。その上で、「誰もが利用することができる公園」を行政も一緒になって作る流れを作っていきたいです

 

実際に、第1回目のワークショップは2020年12月に開催され、私たちもご一緒しましたが、鈴木さんとしてはワークショップやってみていかがでしたか?

知らない方同士が集まったワークショップだったのに、思った以上に皆さんが盛り上がっていて良かったです。みんなで意見を出し合えたことも、すごく良かったですし、そもそも「公園」について考える機会がなかなかないので、そういう機会がつくれたことも良かったと思いました。いざ考え出すと、いろんな意見がたくさん溢れてきて

今回は子育て中の保護者の方を対象にしたワークショップでしたが、今後、いろいろな立場の方に聞いてみたら、もっといろいろな意見が出てくるのでは?とワークショップの効果を実感しました。こういう場を今後どのように作っていくか、考えていきたいと思います。

 

鈴木さんの話す、障がいの子たちのための公園をつくりたいわけではないという言葉も印象的でした。その想い、聞かせてください

私の実体験に寄ってしまうところはあるのですが、長女のときは公園で困ることはほとんどありませんでした。もちろん、よちよち歩きの時期にはしっかりとしたサポートや見守りが必要でしたが、その時期は何年も続くわけではないので「大変なのは一時的なものだった」というイメージです。それが、肢体不自由の双子たちとの公園では、ハード面、ソフト面両方において「すべての人が公園で遊べるような作りになっていない」と知ったのです。それがただ、驚きとショックでした。公園でこんなに困るなんて想像したこともありませんでした。この話をすると、「障がいのある子でも遊べる公園にしてほしいの?」と思われるかもしれませんが、そうではないんです。

海外や都内にあるインクルーシブ公園のように、地面をゴムチップ製にした場合、ゴムチップは弾力性があるので転倒してもケガをしにくくなります。それに、ハイハイやずり這いをする赤ちゃんや、病気、障がいのある子も泥だらけにはなりませんし、車いすや歩行器でも砂利や雑草だらけの地面より進みやすいです。インクルーシブ遊具は、障がいのある子のために作られているわけではなく、どんな人でも利用しやすいように工夫されています。また、気持ちを落ち着かせるためのシェルターがあれば、そこで気分を落ち着かせたり、また、そうではなく、その空間を秘密基地のように利用することもできる…使い方次第で、誰にとっても楽しい空間をつくれるのだと思います。

ハード面を整えることも必要ですが、「みんなおなじ人間」というソフト面を大切にしたいと思っています。「おなじ子ども」であり「人間であることはおなじ」。 違いがあることは自然なことであり、違いが合っても、当たり前にみんなが自然と関われる場所をつくりたいと思っているんです。

 

あらためて、鈴木さんが目指したい地域社会を教えてください。

障がいは、その人の一部分でしかありません。「人間であることはみんなおなじ」それぞれの幸せがあり、それぞれの生活があります。 何が幸せで、何が得意で、何が苦手なのか、それもみんな違います。ですが、お互いの違いを知る機会がないのだと思います。もっと知る機会が増えること、関わる機会が増えることで、相手がどういう人なのか、どんな生活があるのか、どんな考えがあるのか、を知ることができる…そのためには、関わる機会が本当に大切なのだと思います

「公園」という身近な場所をお互いを知るきっかけの場所にできたら、と思っています。地域交流という言葉はありますが、実際は限られた世界で関わっているように思っています。もっと地域が身近になれば、人間関係にも愛着がわくと思います。人間関係がもっと温かくなる社会を目指したい。赤ちゃんから高齢者まで、みんなが地域で関わり合っていける、共に生きることができ、お互いを尊重できる…。私の目指す地域社会は、「違いがあって当たり前というお互いを尊重し、それぞれの幸せのカタチを応援していくこと」です。

 

インタビューを終えて

公園は自由に使えるもの、公園はみんなが笑っているもの、それをあたりまえに思っていた方も多いと思います。私自身、特別支援学校に勤務していながら、公園は使い次第で、何かしらみんな遊べるのではないかと、楽観的で平和な発想をしていたな…と気づかされました。

 

「外しているわけじゃないよ、入りたいなら言ってよ」

いつの時代でも、こんな会話は、子どもたちの間で何気なく飛び交うように思います。

 

きっと、この答えも同じで、私たちに必要なのは「言ってくれれば分かったのに」「教えてくれれば手伝えたのに」ではないのだと思います。どんな気持ちでその場にいるのかということを、どこまで想像できるか…そこに尽きるのだと私は思います。

 

明らかな排除ではない、無意識に生み出してしまう「排除」こそ、お互いにとって心苦しいものはないと思います。笑顔で「排除」してしまうことのない関わりが、地域の中に、少しでも早く生まれるように

 

「声を掛けない方がいい」「大変そうだから近寄らないようにしよう」それが適切である場面ももちろんあるかと思いますが、今回の鈴木さんの話を機に、私たちの何気なくやっている行動を少し振り返るだけでも、同じ地域に暮らす明日が変わってくるように思いました

 

 

第1回目のワークショップはコチラをチェック♬

12/13「公園の新しいスタイルをみんなで考えよう!」イベントレポート

12/13、藤沢市の市民活動団体「インクルーシブひろば~みんなおなじ空の下~」が主催するワークショップ「公園の新しいスタイルをみんなで考えよう!」にお邪魔しました。 障がいがある子もない子も、同じ遊具 ...

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小川 優

大学で看護学を学び、卒業後は藤沢市立白浜養護学校の保健室に勤務する。障がいとは社会の中にあるのでは…と感じ、もっと現場の声や生きる命の価値を伝えたいとアナウンサーへ転身。地元のコミュニティFMをはじめ、情報を発信する専門家として活動する。

-カテゴリー: 障がいとの出会い・受容・悩み余暇活動・スポーツインタビュー団体結婚・子育て, タグ: new家族生き方当事者車椅子地域
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